九州の訴訟原告「追い風」 伊方3号機の運転差し止め

西日本新聞 社会面

九電幹部「正直、驚き」

 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転を禁じた17日の広島高裁の仮処分決定は、四国電力の地震、火山リスクに対する評価や調査は不十分だと指摘した。同様の訴訟を起こしている九州の関係者は「追い風になる」と歓迎する一方、九州電力の幹部からは戸惑いの声が漏れた。

 大分地裁でも市民団体が伊方原発の運転差し止めを求める訴えを起こしている。弁護団の徳田靖之共同代表は、決定が活断層に関する調査の不備を指摘したことについて「細かい意見書を提出した住民側の努力が画期的な判断を導いた。伊方原発を巡る他の訴訟に与える影響は決定的に大きい」と述べた。市民団体の中山田さつき共同代表(65)は「四国電力は重く受け止めるべきだ」と語気を強めた。

 伊方原発から豊後水道を挟んで対岸の大分県には有事の際、約5千人が避難してくる。広瀬勝貞知事は「司法の動向を注視する。電力会社や国は、安全対策に万全を期してもらいたい」とコメントした。

 佐賀地裁では九電玄海原発(佐賀県玄海町)を巡り、複数の運転差し止め訴訟が係争中だ。原告の市民団体の石丸初美代表(68)は「災害リスクを避けるために当然の判断」と評価。別の訴訟を起こしている市民団体の東島浩幸弁護団幹事長(58)は「司法の良心を久々に見た。全国の原発を巡る裁判では住民側敗訴が多くなっており、息を吹き返すターニングポイントになる」。阿蘇山噴火による影響については「玄海原発も阿蘇山に近く危険だ。決定を基にした主張も尽くしたい」と語った。

 玄海町の脇山伸太郎町長は「私がどうこう言うことはないが、司法の判断は尊重すべきだ」。佐賀県の山口祥義知事は「今後の動きを注視したい」と述べた。

 九電川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転差し止め訴訟も鹿児島地裁で係争中。川内原発近くに活断層があると指摘する学者もおり、原告の一人鳥原良子さん(71)は「活断層の問題は川内原発にも共通する。良識ある判断だ」と語った。

 一方、九州電力の幹部は、広島高裁が2017年にも伊方原発3号機の運転差し止めを命じる仮処分を決定したことに触れ、「同じ広島高裁で、原発を停止する判断が2度あるとは思わなかった。正直言って驚いている」と話した。

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