小規模地銀存続へ先手 筑邦銀、SBIと資本提携

西日本新聞 総合面 中野 雄策 具志堅 聡 片岡 寛

筑邦銀、独立性と収益基盤両立

 筑邦銀行(福岡県久留米市)がSBIホールディングス(東京)の出資を受け入れる背景には、低金利の長期化で地銀の経営環境が厳しさを増す中、財務が健全なうちに手を打つ判断があった。有力地銀がひしめき、他地域に先駆けて再編が進む九州で、小規模ながら独立経営を掲げてきた筑邦銀の決断が他行にどう影響するかも注目される。

 「今後も独自路線を継続するため提携したというのがわれわれの本心」

 17日の記者会見で佐藤清一郎頭取はこう強調した。

 福岡県はふくおかフィナンシャルグループ(FFG)=福岡市=傘下の福岡銀行など地銀5行が本店を置く屈指の金融激戦区。南九州地盤の九州フィナンシャルグループ(FG)=熊本市=やメガバンクも攻勢を掛ける。経営統合などによる業界再編が進む中、総資産7871億円(2019年9月末、単体)と規模が小さい筑邦銀の動向が注目されていた。

 祖父が筑邦銀初代会長で、自身はみずほフィナンシャルグループ(FG)出身の佐藤頭取は09年の就任後、地銀同士の合従連衡とは距離を置きつつ、規模の不利を外部との連携で補う戦略で堅実な経営を維持してきた。佐藤頭取は「小規模地銀が大きいところと一緒になったときどうなるか。私自身、(みずほFGで)合併を2回経験し実感がある」と理由を明かす。

 今回、SBIとの関係強化にかじを切ることで、先進的な金融手法をさらに取り入れる。一方でこれまでにSBIの出資を受けた他行のような業績悪化に伴う“救済型”とは異なり、出資比率は「親戚づきあい」程度の3%にとどめ、独立を堅持するしたたかな戦略ものぞく。

 ただ、収益力強化の明確な道筋が描けているわけではない。筑邦銀の19年3月期決算は2年ぶりの減収減益。日銀のマイナス金利政策の影響などで、本業のもうけを示すコア業務純益は17年3月期と比べ約26%減の7億200万円にとどまる。SBIの「地銀連合構想」は、緒に就いたばかりで未知数の部分も大きい。

 一方、九州の金融業界に詳しい関係者は、筑邦銀とSBIの資本提携について「他の九州の地銀にも影響を与える可能性がある。置かれた状況が筑邦銀より厳しい金融機関はお尻に火が付いた状況」とみる。

 小規模な地銀は統合効果が限られることなどから、大手地銀にとって統合相手になりにくいとされる。こうした地銀にとって、今回のようなSBIとの「緩やかな」連携が魅力的に映る可能性もある。(具志堅聡、片岡寛)

SBI、「第4のメガバンク」へ拡大路線

 ネット金融大手のSBIホールディングスが、筑邦銀行と資本業務提携したのは、全国の地方銀行を束ねる「第4のメガバンク構想」を推進するためだ。都市部の顧客が多いSBIは地銀との連携を拡大し、地方の顧客の獲得を狙う。出資先の地銀の企業価値を高め、経営基盤の強化も図る。

 SBIの構想では、同社やメガバンク、有力地銀などが出資する共同持ち株会社の下で地銀が連携。銀行、証券、保険などを展開するSBIが幅広い金融サービスを提供し地銀の収益力を強化し、システムも共通化しコストを削減する。

 既に昨年9月に島根銀行、同年11月には福島銀行が参加。金融庁の遠藤俊英長官は同年12月20日に日本記者クラブで会見し「(SBIと)いい意味で役割分担し、新しいビジネスを展開しようとしている」と期待感を示している。

 SBIには、地銀10行程度から提携の話が寄せられているという。ただ、経営が悪化した地銀を救済する考えはないとしており、提携の利点の一つを「出資した地銀の保有株式の評価益向上」(広報担当)とも説明。提携先の地銀がリストラを迫られる可能性も否定できない。 (中野雄策)

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