自衛隊の多国間訓練倍増 集団的自衛権容認きっかけ 10-18年度

西日本新聞 一面 塩入 雄一郎

 自衛隊が参加する多国間の軍事訓練が増加している。ほとんどは米軍主導の訓練に加わったもので、2018年度に参加した多国間訓練は21回と10年度の2倍以上になっている。日米安全保障条約の改定署名から19日で60年。日本の集団的自衛権の行使が可能になったことを機に、自衛隊が米軍との一体化を強めつつ多国間の安全保障の枠組みに関与する実態が浮かぶ。

 防衛省の集計によると、自衛隊の多国間訓練への参加は日米安保改定50年の10年度が9回、11年度が8回だった。12~15年度は14~19回で推移したが、16年度に35回と急増。以降も年間20回を超えている。最近は陸海空だけでなく宇宙、サイバー、電磁波といった新領域でも連携を深めており、昨年12月には北大西洋条約機構(NATO)が主催し、米国など30カ国・地域が参加した大規模サイバー演習に正式参加。18年10月には米空軍が実施した8カ国による宇宙安全保障演習に自衛隊として初参加した。

 自衛隊が参加する多国間訓練は日米のほか、オーストラリア、韓国、カナダなど米国の同盟国を加えた枠組みが目立つ。とりわけ16年度からはインドが参加する訓練が増加。中国に対抗する日米の外交戦略「自由で開かれたインド太平洋戦略」の影響とみられる。

 一方、多国間訓練参加が増えたのは、16年3月末に安全保障関連法が施行され、集団的自衛権が行使できるようになったことが大きい。それまで自衛隊は人道支援や災害救援目的の訓練だけに参加したり、多国間の枠組みでも実際は米軍とのみ行動したりと、参加を抑制していたためだ。

 また中国が軍の近代化を進め、海洋進出など活動範囲を拡大。米軍だけではアジア太平洋地域の軍事バランスを維持することが難しくなり、自衛隊の広範な協力を求める声が米側で強まった事情もある。

 元陸将補の吉富望・日本大危機管理学部教授は「米国の軍事力の相対的な影響力低下を踏まえ、自衛隊が米軍のみならず、同じ価値観を有するオーストラリアやインド、東南アジア諸国などの軍との協力を深化させることは重要だ」と指摘する。 (塩入雄一郎)

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