知識と経験、さらに何が必要?【きみとさいごまで】

西日本新聞

 老犬ホームに求められるスタッフは、どんな人でしょう?

 まず犬や猫の専門知識が必要です。高齢になれば寝たきりになり、自分で食事ができなくなることも。特に大型犬は重く、寝たきりの介護は体力が必要です。感染症のほか、がんや心臓病、内臓の疾患、てんかんなどの病気もあります。細かい変化に気付くことも大切です。

 トイレも、お漏らしをすることがあります。掃除は大変で、汚物が体につくことは日常茶飯事。一方で元気な犬は毎日の散歩が必要です。緊急事態のときは走って駆け付けます。

 走って歩いて、大型犬を介護できる体力。病気の詳しい知識。汚れても平気な強い心。なんだかハードルが高いようです。

 でも安心してください。どれも平均くらいで大丈夫です。重い犬の体位を変えるのは、こつをつかむと簡単。体力は…。毎日歩いてつけます! 病気の知識や体調変化の察知は、経験を積んで勉強するのみです。

 私も特別な資格は持っていません。ホームを始めたころは、まだ老犬介護の概念や専門的な研究がありませんでした。犬が病気になるたび獣医師に教えてもらい、どう介護すれば動物がつらくないか試しました。床擦れになりにくい介護用マットレスの選び方など研究あるのみです。

 ゴールデンレトリバーのりょう君(15)は動物病院で床擦れができ、うちにやってきました。病院ではスタッフが交代で見ているためか誰も床擦れに気付いていないようでした。まだ立てるのに、いつ外に出たのかも分からない。病院と飼い主との意思疎通が不足していました。

 預かって亡くなるまで20日足らずでしたが、できる範囲でドッグランに出て、床擦れも治って天国に旅立ちました。飼い主にとても喜んでもらえました。

 ホームのスタッフに必要なのは、飼い主の話をよく聞き、ペットをよく理解して愛情を持って接すること。そしてその日々を詳しく伝えること。愛する犬や猫を心配する飼い主に寄り添うことは、専門的な知識やノウハウと同じくらい大切だと考えています。 (老犬ホーム「トップ」代表)

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