衆院テロ対策特別委参考人質疑 自衛隊派遣は「有害無益」 中村哲医師

西日本新聞 総合面

 衆院テロ対策特別委員会は13日、テロ対策特別措置法案に関する参考人の意見聴取を行った。木川真富士銀行人事部長、軍事アナリスト・小川和久氏、医療NGO「ペシャワール会」現地代表・中村哲医師、浜谷英博松阪大教授、小沢隆一静岡大教授、前田哲男東京国際大教授の6人が出席。それぞれ現地での体験や、法律・軍事の専門家としての観点から、法案の問題点を指摘した。

 ●「現地の感情」

 「現地の対日感情は非常にいい。自衛隊が派遣されると軍事的存在にしか映らず、これまで築いた信頼関係が崩れる」

 アフガニスタンとパキスタンの国境付近で医療活動を続ける中村氏が指摘したのは、自衛隊派遣による現地感情の変化。米軍を支援する「日本の軍隊」が、NGO活動に悪影響を及ぼすとし、自衛隊派遣を「有害無益」とまで述べた。

 中村氏は自衛隊の医療活動も、言葉の障害やパキスタン政府が難民キャンプ設置を嫌っている点を挙げ「成り立たない」と断言。「パキスタンの1600人の失業医師」の人材活用を提案した。

 日本独自の支援に関しては「難民を出さない努力」への貢献とし、「経費面からも国連を通さず日の丸を張って物資を送ればいい」と人道支援に徹した「ショー・ザ・フラッグ」を提案した。

 ●法律的に問題

 法案修正の焦点となっている「国会承認」は、浜谷氏が「事前承認でも事後報告でも、国会が関与しない政策はない。求められるのは迅速性と、的確性」と、文民統制の観点から国会関与の重要性を指摘。小沢氏は「周辺事態法では事前承認が原則。法律の均衡を失する」と、報告のみとする法案を批判した。

 武器使用を「自己の管理の下に入った者」の防護まで拡大した点では、小沢氏が「米軍防護まで含むような表現で、事実上の戦争行動との疑念をぬぐえない」と指摘。難民キャンプ活動も「武器使用を(正当防衛など)自然権で説明するのは困難」と疑問を呈した。

 前田氏は法案の法的根拠のあいまいさを「日米安保条約から新法は導き出せず(政府は)『主体的』という概念を打ち出した。その無理は周辺事態法に始まり、今回で極まった」と批判した。

 ●「支援人ごと」

 政府の対米支援、協力姿勢を「協力、支援は人ごとの話」と、当事者意識の欠落を指摘したのは小川氏。日本の危機管理を「幼稚園レベル」と酷評し、阪神大震災やサリン事件などの事例をもとにした危機管理プラン策定、情報収集力の強化に向けたシンクタンク設立を訴えた。木川氏は「今回の事件は民間の危機管理の想定を超える。東京でも、と考えると恐怖心がわく」と述べ、事後処理のための「国家レベルでの復旧プランの策定」を求めた。

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