アフガンで活躍の中村哲医師 報復の動き批判 国会議員に「無謀」訴え 「犠牲になるのは飢餓難民」「空爆はホロコースト」

西日本新聞

 アフガニスタンとパキスタンの国境付近で医療活動を続ける福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の現地代表、中村哲医師(55)の報告会が26日、東京・永田町の衆院議員会館であった。テロ攻撃を受けた米国がタリバン政権に軍事報復の姿勢を強めていることについて、中村医師は「空爆で犠牲になるのは都市部に流入している飢餓難民。食糧難の中での報復は衆人環視のホロコースト(大量虐殺)だ」と強く非難し、集まった国会議員ら数十人に報復の無謀さを訴えた。

 アフガンでは昨年からの干ばつで100万人の死者が予想されている。中村医師は「農業用水が枯渇し、飲料水さえなくなった農民は都市部に向かい、各地で農村が消滅している」と現地の惨状を説明。診療所を訪れる患者の大半が衰弱して病気になった子どもであることを指摘し、「診察を待つ間に、体が冷たくなっていく子どもを母親が抱きしめている」と、涙で言葉を詰まらせながら体験を語った。

 そのうえで「犠牲になるのはこんな人たち。後で実情が分かったら、報復した人は夢見心地が悪くなるだろう」と、一般市民を巻き込む報復行動を非難した。

 日本国内では、米国の軍事報復を後方支援する法案の準備が進み、成立すれば自衛隊が現地に派遣されて非戦闘地域で医療・難民支援に当たる。この点に関し、中村医師は旧ソ連のアフガン侵攻を例に「難民キャンプで新たな政治的運動が生まれる」と述べ、キャンプが武装ほう起の拠点になる可能性を指摘、戦闘地域と後方地域の線引きの難しさをにじませた。

 国会議員からは自衛隊派遣の実効性を質問する声も上がった。中村医師は「だめでしょう。文化のギャップや住民とのトラブルで、命令でも不可能に近い」と不適応を予測。「何もしないのも日本の役割ではないか」と、浮足立つ永田町の空気をいさめた。

 中村医師はテロ事件の影響で一時帰国中だが、10月1日に再度、パキスタンに向かう。「戦時下でも仕事は続ける。違う国の人々や文化を理解する橋渡しの活動を断固続ける」と口調を強めた。

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