「テロ報復」アフガン緊迫 NGO6邦人退避 医療支援活動のペシャワール会 外務省勧告従う 「米へけた外れの敵意」 空爆備えざん壕も

西日本新聞

 米中枢同時テロで、米政府がアフガニスタンに潜伏しているウサマ・ビンラディン氏への報復姿勢を明確にしたことを受け、アフガニスタンとパキスタンで医療支援などを続けている福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」は14日、現地の日本人スタッフを国外退避させ、活動を一時縮小することを決めた。

 福岡市中央区の同会事務局によると、診療活動を続けている中村哲医師と、干ばつ対策の水源補給事業に携わる日本人スタッフ5人は、外務省の退避勧告に従い、陸路でパキスタンに一時退避。カブールの同会診療所など6カ所は当面、現地スタッフに運営を任せる。

 現地からの連絡では、現地は平穏で特に異常はないという。

 事務局の福元満治さん(53)は「テロに軍事的に報復するだけでは憎しみを増幅するだけ。被害を受けるのは一般民衆ということを認識し、テロを生み出す土壌を改善する方策を考えてほしい」と訴えている。

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 ●福岡出身中村医師「日本は冷静な対応を」 

 アフガニスタンで医療支援を展開していた福岡市出身の中村哲医師(55)は14日、外務省の勧告に従い、活動拠点のパキスタン北西辺境州の州都ペシャワルに退避した。同地で西日本新聞の電話取材に答え、「米国への敵意はかつてないほど高まっている。日本は冷静に対応してほしい」と訴えた。

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 中村医師は17年間、パキスタン北西辺境州やアフガン東部で医療活動を展開。ペシャワール会の支援を受け、アフガンでは現在、首都カブールなどに8つの診療所と、干ばつ対策の井戸掘削事業事務所を構えている。

 中村医師は先週、診療所増設のため、カブール入り。今週初め、いったんパキスタンに戻ったが、11日の米国のテロ事件を受けて12日、再びアフガンに入った。

 アフガン国内でも、テロ事件は大きく報じられており、国民はテロリストを強く非難、犠牲者への大きな哀悼が広がっていた。ただ、ビンラディン氏が潜伏しているとの理由でアフガンへの報復姿勢を強める米政府や北大西洋条約機構(NATO)には「17年間で感じたことのないほど、けた外れの敵意が燃え上がっている」ともいう。

 中村医師によると、カブールや東部の町は平静だが、空爆に備えてざん壕を掘る人も見られた。アフガンでは被爆地の広島、長崎の知名度が高く、親日感情が強いためか、住民から「罪のないアフガンをいけにえにしないでくれ。日本人なら痛みを分かってくれるはずだ」と話しかけられることもあった。

 中村医師は米国寄りの報道が多い日本には中東の実情が正確に伝わっていないと指摘。アフガンではこの1年間、水と食糧不足で約100万人もの市民が犠牲になっており「数千人の犠牲者では驚かなくなってしまったアフガンの悲しい現実を知ってほしい」と訴える。さらに「日本は米国のヒステリックな軍事報復に同調することなく、平和憲法を貫き、世界平和を死守してほしい」と強調した。

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