しゃっくり、治療用ガスでピタッ 久留米・聖マリア病院医師が開発

西日本新聞 社会面 山口 新太郎

 聖マリア病院(福岡県久留米市)呼吸器外科の大渕俊朗医師(57)が、長期間しゃっくりが続く重症患者向けに治療用ガスを開発した。めまいや難聴治療で一般に使われる酸素と二酸化炭素(CO2)の混合ガスを改良。66年間しゃっくりに悩む患者を含め、治療した17人全員で症状の改善が認められたという。成果は3月に学会誌に掲載される予定。

 しゃっくりは喉周辺の刺激を引き金に、呼吸運動を調節する延髄の中枢神経に異常な指令が伝わり、無意識に強く息を吸ってしまう現象。原因や詳しいメカニズムは分かっていない。通常の筋肉けいれんでみられる左右差がないことや最新の研究成果から、一般にいわれた横隔膜のけいれんではないと考えられている。

 脳疾患や抗がん剤の副作用などで長期間しゃっくりが続く患者もおり、睡眠障害やうつ状態になるケースもあるが、これまで確立された治療法はなかった。

 大渕医師は血中のCO2濃度を一定まで高めると、大脳が窒息の危険を感じて延髄の異常な指令を抑え込むことを利用し、しゃっくりを抑える手法を考案。血中CO2濃度を高めるため、研究段階では患者に袋をかぶせて自分の呼気を繰り返し吸ってもらう臨床試験をした。ただ、この方法では窒息の危険性も指摘された。

 ガスによる治療では、めまい治療などで使用する混合ガス(酸素95%、CO25%)のCO2濃度を10%まで高め、5、6分吸入してもらう。酸素も十分含まれるため安全だという。

 これまでに、しゃっくりが出続ける人や数日おきに出る人など全国の重症患者17人に使用し、全員がいったん止まった。帰宅後に再発した人もいたが、数日を経て完全に止まったり、頻度が減ったりするなど一定の改善があったという。

 大渕医師は「しゃっくりが長期間続く患者は、強迫観念や焦りなど悩みが深く、外に出られない人もいた。いったんにせよ『止まる』ことは安心感につながる」と話している。 (山口新太郎)

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