桜を見る会 違法な名簿管理許されぬ

西日本新聞 オピニオン面

 ずさんな公文書の管理は、政府が自ら法律違反を認めざるを得ない異常事態となっている。言語道断というほかない。

 首相が主催する「桜を見る会」に招待された過去5年分の名簿管理について、菅義偉官房長官は公文書管理法と内閣府の文書管理規則に違反する対応だったと記者会見で認めた。

 公文書管理法は、保存期間1年以上の行政文書について管理簿に名称や保存期間を記録し、公開を義務付けている。国民の「知る権利」に応えるためだ。

 第2次安倍晋三内閣発足後の2013~17年度の招待者名簿は保存期間1年だったのに、管理簿に記載されていなかった。廃棄の記録も残されておらず、廃棄に必要な首相の事前同意手続きも取られていなかった。

 18年度以降は保存期間が1年未満に短縮されて管理簿への記載義務はないが、問題の過去5年分の名簿管理は明らかに法律や規則に違反する。国民共有の知的資源である公文書が「闇から闇へ葬り去られていた」と言っても過言ではあるまい。

 さらに驚かされるのは、国民を欺いたことに対する認識のずれである。官房長官は法律違反こそ認めたものの「事務的な記載漏れだった」とした。民主党政権時代の11、12年度の招待者名簿も管理簿に未記載だったとして「それを前例とし、13年度以降も漫然と後任に引き継いだ」とも釈明している。

 しかし、11、12年度は東日本大震災などの影響で開催されなかった。これを前例踏襲したという理由は説得力を欠く。

 耳を疑うような問題は、まだある。昨年11月に内閣府が国会に提出した「桜を見る会」の推薦者名簿で、一部に推薦した部局名を隠す加工をしていたことが判明した。「内閣官房内閣総務官室」という部局名で、人事課長らが消していたという。同室の推薦名簿について内閣府側は以前に「廃棄済み」と国会答弁しており、野党は「答弁がうそになることを恐れて消したのではないか」と追及している。

 もし、過去の国会答弁との整合性を取るために加工したのだとすれば、国有地売却を巡る森友学園問題で国会提出の決裁文書を改ざんした財務省の不祥事が改めて思い浮かぶ。

 曖昧な政府の説明が次の疑惑の呼び水となり、不確かな国会答弁が次の問題の引き金となる。この悪循環を断つには一連の問題を徹底的に調べ、責任の所在を明らかにして処分も辞さない覚悟で臨むしかない。

 ところが、政府は再調査にも関係者の責任追及にも消極的で、国民の不信は募るばかりだ。きょう召集の通常国会で疑惑の徹底的な解明を求めたい。

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