「自由への闘い支援」 台湾・中央研究院の呉叡人副研究員に聞く

西日本新聞 国際面 川原田 健雄

 混乱が続く香港情勢を台湾の人々はどう見ているのか。台湾政府のシンクタンク、中央研究院の呉叡人副研究員(57)に聞いた。

 -昨年6月から続く香港の反政府デモは台湾社会にどんな影響を与えたか。

 「香港の若者が警察と衝突する姿は台湾でも連日中継され、まるでドラマを見るように多くの市民が画面にかじりついた。台湾から見ると香港の人々は経済優先のエコノミックアニマルという印象だったが、今回の抗議活動で印象は一変した。中高年も自由と民主のために闘った30~40年前の台湾の姿を思い出した」

 「台湾の若者たちは通信アプリを使って香港の若者と連携。香港に渡ってデモに参加した市民も多い。昨年6、9月には香港支援の大規模集会が開かれた。各大学にはレノン・ウオールが作られ、応援メッセージの掲示を嫌がる中国人留学生とトラブルも起きている。香港の戦いが台湾にまで広がっている印象だ」

 -台湾に逃げてくるデモ参加者が増えている。

 「台湾が受け入れ側に回るのは事実上初めてで、戸惑いもある。中国の圧力など外交的に困難な情勢に置かれる中、積極的に動いているのが市民だ。人権団体や弁護士などが連携して一時的な居場所を提供。一人一人の事情に考慮しながら在留資格の取得などを手伝い、最終的に台湾政府が移住の可否を判断する。台湾社会は総力をもって香港を支援している。ただ、中には親が親中派のため家出同然で逃げてきた未成年者もいる。未成年者の受け入れには保護者の同意が必要で状況は単純ではない」

 -香港情勢は高度な自治を認める「一国二制度」の限界を浮き彫りにした。

 「香港の問題は、連邦制など真の分権を実現すれば簡単に解決できる。現実的な香港の人々は受け入れると思う。ところが中央集権の中国は分権ができない。香港を追い詰めた結果が今の混乱だ。中国の間違った政策が“香港ナショナリズム”を作り出した」

 「改革・開放の40年で“ゆがんだ発展”を遂げた中国は民主主義がなく、独立した司法制度もない。社会の矛盾を解決する手段は暴力的な鎮圧だけだ。こんな国には誰も近づきたくない。同性婚まで認めた台湾にとって、人権は核心的な価値観だ。真の人権を持つ国に変わるかどうか、今後の中台関係は中国の動向にかかっている」

(聞き手は川原田健雄)

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