原発政策の今、笑いのめす 映画「ニッポニアニッポン」2月に福岡で

西日本新聞 吉田 昭一郎

 福島第1原発事故からまもなく9年。被災地・福島の復興や原発政策の今を、痛烈な皮肉をまぶして描き出す映画「ニッポニアニッポン―フクシマ狂詩曲」が2月8、9日、福岡県内で上映される。大分市出身の才谷遼監督の作品。

 福島県内のある市の職員、楠(隆大介)は立ち入り規制が解除された原発そばの町に出向し、助役(寺田農)と被災地を回り、復興途上の厳しい現実におののく―。

 福島県では県内外で避難生活を送る人がなお4万人を超え、震災関連死が2300人に迫る。その一方で、検察審査会の議決強制起訴された東京電力元経営陣の刑事裁判(一審)では無罪判決が出ており、誰も事故の責任を取っていない。

 さらに、原発の汚染水処理問題は棚上げ状態で事故は収束していないのに、経済界から原発の新設・再建を求める声さえ上がる。そうした国情を、被災地の実写映像にアニメを織り交ぜ、ミュージカル仕立ての娯楽映像を通じて徹底的に笑いのめす。

 ブラックユーモアも散見し、タブーに挑む場面もある意欲作。ナチスの全体主義の過ちを追究したドイツ出身の哲学者、ハンナ・アーレントの問題提起の言葉「悪の凡庸さ」を引いて、今の日本人論を展開するなど、笑いの奥の批判精神が満載だ。

 才谷監督は「原発に批判的な話を言うと、同調圧力が働いて、もういいじゃないか、とはじかれる。今、誰かが『おかしいことはおかしい』と言っておかないといけないと思った。今の社会は笑うしかないのかな、という気持ち」と作品に託す思いを語っている。

 2月8日午後1時半、福岡県柳川市の柳川総合保健福祉センター・水の郷ホール▽9日午後0時半、午後4時の2回、福岡市博多区のあじびホール。いずれも上映後、才谷監督と主演の隆大介さんのトークショーを予定。

 問い合わせは、アート・アニメーションのちいさな学校=03(5373)5780。(吉田昭一郎)

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