列車+自転車=新しい旅! 熊本南部を乗って走って巡ってみた

西日本新聞 もっと九州面 村田 直隆

肥薩おれんじ鉄道「サイクルトレイン」

 自転車を列車に持ち込める「サイクルトレイン」。肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市)が、新しい楽しみ方として県南の沿線の観光スポットを自転車で巡るモニターツアーを企画した。体を鍛え直すきっかけを探していたところだったので、芦北・水俣地域の魅力発掘も兼ね、新調した自転車で参加してみた。

 昨年12月8日午前9時。八代駅に県サイクリング協会の会員ら自転車愛好家16人が集まった。駅のホームに自転車が並ぶ光景は、普段あまり見ることがなく新鮮だ。今回は、定期運行の列車に1両増結したツアー専用車両に乗車した。

 「自転車を解体せずに乗れるのは楽ですね」と、八代市近郊から参加した47歳男性。参加者の多くは自転車をそのまま乗せ、揺れる列車内で座席に座り手で固定していた。通過駅の肥後二見駅(同市)辺りから、右手に不知火海の景色が広がった。写真に収める人たちで車内は活気づく。

 おれんじ鉄道は、同11月にサイクルトレインの試験運行を11日間実施。その際、遠方から訪れるサイクリストの利用が多かったため、モデルコースを設定した。新しい需要の開拓を進めると同時に、沿線地域の活性化につなげる狙いがあるという。

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 たのうら御立岬公園駅(芦北町)で自転車を降ろし、水俣駅まで全長46キロの自転車の旅がスタートした。車の通りが少ない広域農道津奈木田浦線(七浦オレンジロード)をひたすら南下する。

 序盤は小高い山の合間を抜ける道。上り坂のたびに息が切れるが、さまざまな種類のかんきつ畑と時折見える海に癒やされる。スイスイ進む自転車愛好家たちの姿を見失わないように、必死にペダルをこぐ。

 長く感じた山から下ると、不知火海の海岸沿い道路に出た。対岸に天草市御所浦町がはっきり見えるほどの晴天で、海風が気持ちいい。穏やかな波の音、ほのかな潮の香り、太陽にきらめく海面を横目に平たんな道を走る。

 芦北町の中心部、佐敷地区に入るとすぐに第1休憩所。不知火海でとれるエビに特化した食堂施設「えび庵」で、小エビをふんだんに使ったエビ飯のおにぎりとみそ汁に舌鼓を打つ。

 佐敷からは海岸沿いをひた走る。全体の半分にさしかかる直前から、急に脚が重くなる。津奈木町に入った辺りで完全に参加者たちの後ろ姿を追えなくなった。ツアーの進行を考えると気が焦る。

 ついに30キロ手前地点で、白旗を揚げた。おれんじ鉄道社員の車に自転車を乗せてもらい、先を行く参加者たちに追いつく。一行は下り坂の途中で自転車から降り、写真撮影をしていた。お目当ては、海中に24本の柱で校舎が立ち「海の上の学校」と親しまれた旧赤崎小(同町)。道中にはいくつか写真撮影ポイントも用意されていた。

 旧赤崎小校庭で2回目の休憩。軽食を味わい、水俣に向かう。10キロほど車で移動し、海岸沿いの約5キロに約500本の桜が並ぶ「湯の児チェリーライン」から再び自転車に乗った。沿道の木を見ると、春が待ち遠しくなる。その後はマイペースで走り、午後1時すぎ水俣駅にゴールした。

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 自転車愛好家は今回のツアーをどう感じたのか。自転車で県南方面に初めて訪れたという熊本市西区の宮坂ルミさん(47)は「熊本の海は天草というイメージがあったが、芦北・水俣の海もきれい。自転車のイベントで、もっとこの海の魅力を発信してほしい」と絶賛。「車窓からの景色も良く、自転車を列車に積んで楽しむのもありだと思った」と満足げだった。

 一方で、熊本市中央区の元競輪選手、塚本一之さん(59)は「熊本駅から自転車を乗せられたらもっと良かった。JRと連携したらもっといろんなところに行けるのではないか」と改善点を指摘する。

 おれんじ鉄道は2月に鹿児島県でもモニターツアーを実施し、より魅力のあるコース設定を模索。列車の新しい使い方として売り出していくという。私自身、沿線地域の絶景スポットや地元産グルメを堪能できた一方で、普段の運動不足も痛感させられ、いろんな意味で有意義な旅だった。 (村田直隆)

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