寺を埋め尽くすカエル、なぜ? 若者呼び込む生き残り策、総勢2000体

西日本新聞 ふくおか都市圏版 福田 直正

 福岡県飯塚市のJR天道駅から車で約5分の場所に、カエルの石像が大量に並ぶ寺を見かけた。名は正法寺。入り口には「ようこそ こがえるでら」とある。異様な光景に圧倒されながら思ったのは、なぜ寺にカエル? 謎は探らねばなるまい。

 まずは寺の入り口。最大直径が約1メートルになる球体の形をした「お願いかえる」10体ほどがお出迎え。カエルの表面には、家族の健康から、好きな芸能人の活躍まで十人十色の願い事が所狭しと書き込まれている。記者も原稿がうまくなるようにとお願いした。

 「かえる七福神」が並ぶ階段を上っていくと、踊り場に右手を差し出す「握手かえる」。身長約1メートルのかわいらしい石像だが、手は力士のように大きい。

 上がりきった先の本堂近くにはドーナツのように口を開けた「縁満かえるくぐり」だ。成人男性がやっと通れるかという大きさの輪だが、くぐれた人は「人生万事縁満(円満)」になるそうだ。挑戦したが、体が硬いのか失敗した。

 さらに、県内のカエル愛好家が奉納したぬいぐるみや置物などのカエルグッズが見学できる「かえる部屋」もあった。原口性亮(しょうりょう)住職(39)によると、カエルの総数は約2000体。なぜこれほどのカエルが寺を埋め尽くすのか-。

 「お寺を変える(カエル)ためです」。住職の答えは明快だった。

 発案者は、原口住職の父で、小郡市の如意輪寺の原口元秀住職(70)。何かと物騒な世の中、若い人も手を合わせ、心を落ち着ける場を作れないかと、如意輪寺でカエルを取り入れた。「かえる寺」との愛称で親しまれ、年間約30万人が参拝するという。

 そして、如意輪寺が兼任していた正法寺の住職に性亮住職が就任した2009年、父は息子に「注目される生き残り策」としてカエルの継承を提案した。カエルをあしらったご朱印や、如意輪寺と正法寺のお守りを組み合わせた「円満かえる守り」など、参拝者を楽しませる工夫を凝らして、今では、「こがえる寺」として人気を集めるようになったという訳だ。

 同僚と訪れた飯塚市の会社員高野亜加音さん(37)は「たくさんのカエルが気になっていた。友人と気軽に手を合わせることができて良かった」と満足げだった。「忙しい中にも、気持ちを入れ替える(カエル)ことが大切ではないでしょうか」と性亮住職。たくさんのカエルは気ぜわしい現代人の心を癒やしていた。

 正法寺=0948(23)4588、飯塚市平恒401。(福田直正)

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