ベイリーに会えたよ! 中野 慧

西日本新聞 オピニオン面 中野 慧

 皆さんはファシリティードッグについてご存じですか。入院中の患者に寄り添い、痛みや不安を和らげるために専門的に育成された犬です。国内では3カ所の病院にいます。私は昨年6月、本紙こどもタイムズ編集部に届いた手紙で知りました。

 手紙の主は福岡県粕屋町の小学5年、清武琳(りん)さん(11)。本紙のこども記者として活動しており、何度も会ったことのある男の子です。手紙には「ファシリティードッグのことを取材したい」とつづっていました。それから半年後-。彼は意外な形でその思いを実現し、私たち編集部の記者たちを驚かせました。

 清武さんがファシリティードッグのことを知ったのは一昨年10月。1頭の引退を伝える新聞記事を読んだのです。名前は「ベイリー」。清武さんは強い興味を持ち、病院に犬と担当の看護師を派遣する団体に資料を送ってもらい、本などで詳しく調べました。

 清武さんは脊柱側彎(そくわん)症の手術のため年2回、福岡市立こども病院に入院しています。手術は高校生になるころまで続きます。「僕の病院にもベイリーのような犬がいたら」という切実な思いが彼を駆り立てたようです。

 こども記者として取材や記事を書く経験を積んでいた清武さん。ベイリーの記事をきっかけに、自分ができることを考えて行動しました。こども病院の院長や福岡市長に宛てて、まだ九州にいないファシリティードッグの導入をお願いする手紙も書き、返事をもらいました。

 そうした活動の経緯を書いて応募したのが「いっしょに読もう!新聞コンクール」(日本新聞協会主催)でした。目を引いた新聞記事を選び、家族や友達の考えを聞いて自分の意見を書くコンクールです。清武さんは小学生部門(応募数6605点)で見事に最優秀賞を受賞しました。

 清武さんは昨年12月に横浜市で開かれた表彰式に招かれました。偶然ですが、同市にはベイリーがいる神奈川県立こども医療センターがあります。式の前日、悲願だった取材とベイリーとの対面がかないました。自らの手で、その機会を引き寄せたのです。

 私もその場に立ち会わせてもらいました。清武さんはお小遣いで録音機を購入、20問を超える質問も準備して取材に臨みました。ベイリーと、もう1頭のアニーが現れると緊張していた表情も和み、犬と行動を共にする看護師さんからもうまく話が聞けました。清武さんの記事は23日、本紙「もの知りこどもタイムズ」に掲載します。 (こどもタイムズ編集部)

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