日韓学生が相互訪問30回 「こんな時期こそ」九共大の鄭准教授橋渡し

西日本新聞 九州+ 金田 達依

 日韓関係の改善が見通せない中で、韓国全羅北道出身で九州共立大(北九州市)准教授の鄭英美(チョンヨンミ)さん(46)が草の根の交流を続けている。同大と、韓国の大邱(テグ)大(慶尚北道)など5大学の学生が年に1~2回訪問し合い、スポーツや学術発表を通じて相互理解を深めている。日本政府の輸出規制強化で自治体などの交流が相次いで中止になった昨夏、韓国側から訪日見送りの打診があったが、「こんな時期だからこそ」と説得し、予定通りの来日が実現した。「若い学生たちが日韓の懸け橋に」。鄭さんは期待する。

 「日本では、どんな子がもてるの?」。昨年11月上旬、北九州市内のカラオケ店で開かれた交流会で、両国の学生はスマートフォンの翻訳アプリを使って会話し、恋愛事情や音楽などの話で盛り上がった。

 大邱大生の16人は2泊3日の日程で来日。日本の学生らとフットサルやバスケットボールを楽しみ、体育教育のあり方などについて研究内容を発表した。

 鄭さんは韓国の高校で器械体操の選手として活躍し、1991年から2年間、九州女子短大(同市)に留学。その後の2年間も同短大研究生などとして日本に滞在した。この時、多くの人に助けられた経験が活動の原動力という。

 短大の同級生は、家具に日本の名称を書いたシールを貼るなどして日本語の習得を後押し。日本で行われた器械体操の大会で優勝すると、新聞の切り抜きを張った寄せ書きを贈られた。短大の先生は、教員免許取得のための実習先を探しだし、実習中は佐賀県の自宅に泊めてくれた。

 縁あって知り合った在日コリアンの会社社長金秀英(キムスヨン)さん(67)=福岡県水巻町=は「若者に何かしてあげたい」と身元引受人になり、短大の入学金も負担してくれた。鄭さんは「日本のお母さん」と慕い、現在も家族ぐるみの付き合いが続く。

 日韓学生の交流会が始まったのは、韓国の大学院で体育行政政策への学びを深めた上で、九共大准教授として再来日した2016年。ゼミ生を中心にこれまでの相互訪問は30回を数える。

 交流会に7回参加したスポーツ学部4年の吉沢利能(りの)さん(22)は「日本人を嫌っているのは、ごく一部の韓国人だけだ」と実感しているといい、卒業後は就職先の自治体で日韓交流事業に取り組むことに意欲をみせる。当初は「韓国の印象は良くなかった」と言うゼミ生も、交流を通じて認識が変わったと明かす。鄭さんは「直接触れ合えば分かり合えることは多い。互いの素顔を知ることが友好につながる」と言葉に力を込めた。 (金田達依)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ