天神の放置自転車なぜ減った? 中央区役所の「一掃策」とは…

西日本新聞 ふくおか都市圏版 手嶋 秀剛

 天神で近ごろ、放置自転車を見かけなくなった。かつては、放置台数が全国ワースト1だったのになぜ?。天神地区の駐輪対策を担当する福岡市中央区役所を訪ねると、「放置一掃」に向けたあの手この手の取り組みが効果を発揮していた。

 「天神の放置自転車は今では“希少種”ですね」。中央区役所道路適正利用推進課の倉岡浩臣課長がにこやかに取り出したデータは「放置率」。特定の地区における、一日の自転車乗り入れ台数に占める放置台数の割合で、国土交通省が毎年、現地調査している。

 天神地区の2019年の放置率は0.7パーセント(速報値)で、17年以降、1パーセント未満が3年連続で続く。03年に放置台数が全国ワースト1だった天神地区。駐輪対策の転機は14年だった。平日昼に毎日、放置自転車を撤去するようにしたのだ。15年からは午後5時以降の夜間撤去を開始。さらに翌年から、休日の撤去も行うようになった。

 放置自転車は見る見る減ったが、区役所には撤去された市民からの“苦情”が相次いだ。「ちょっと置いていただけ」「私の自転車だけなぜ持っていく」「止める所がなかったのに」。毎日20~30件。1年余り、職員は辛抱強く応対した。

 徹底した撤去の取り組みは効果を発揮したが「撤去だけでは、放置自転車はなくならない」と倉岡課長。区役所では、撤去と並行して駐輪しやすい環境の整備にも力を注いだ。天神地区の歩道にある路上駐輪場のセキュリティーを強化し、市役所前に地下駐輪場を開設。放置車両の「撤去」と駐輪場の「整備」が両輪となって劇的な変化を生んだ。駐輪場への誘導やマナー啓発に街頭指導員も広範囲に配置したという。

 自転車の放置を条例で禁止した天神地区では、放置車の即時撤去ができる。撤去した自転車は、中央区那の津の保管場所に運ばれる。持ち主が受け取る際には、移動・保管手数料として2500円を徴収する。

 区役所が18年度に徴収した保管手数料の総額(天神地区以外含む)は約3600万円。一方で撤去・保管にかかった費用は約4900万円に及ぶ。手数料を徴収しても、放置対策に貴重な税金が使われている。

 放置一掃に、さまざまな取り組みをしている区役所だが、倉岡課長は「一人一人にモラルやマナーを守ってもらうことが、最も効果的で最善の方策です」と強調していた。 (手嶋秀剛)

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