全共闘世代、五輪に懐疑的 「白書」調査、元闘士の8割”評価せず”

西日本新聞 社会面 山下 真

 56年ぶりに東京で開催される五輪・パラリンピック。かつて、全国の大学でバリケード封鎖や授業ストライキを繰り返した「全共闘運動」に携わった人々の約8割が、2度目の東京五輪開催に懐疑的-。そんなアンケート結果が、全共闘体験者の声を集約し、昨年末に刊行された「続・全共闘白書」(情況出版)で明らかになった。当時、各地で紛争に加わった闘士も既にシニア世代。白書では全共闘の総括から、五輪など昨今の時事問題まで75項目を質問。回答からは、老いてなお意気盛んな姿が浮かび上がる。

 全共闘運動は1968~69年、大学運営の民主化や反戦などを掲げた学生が大学キャンパスで紛争を起こした。各地の大学に波及したものの、活動の過激化や連合赤軍のリンチ事件で支持を失い、衰退していった。

 運動から半世紀を機に、自らも運動に携わった有志約10人の実行委員会が「後期高齢者に差しかかる全共闘世代の声を『社会的遺言』として発信しよう」とアンケートを企画。94年に出版した「全共闘白書」の続編として書籍化した。

 主に出身校別に大学、高校計約120校446人の回答をまとめており、60代後半~70代前半が多い。出身校は最多が東京大(56人)で、九州では九州大(8人)▽北九州大(4人)▽西南学院大、長崎大(各3人)▽佐賀大(1人)が名を連ねた。

 今夏の東京五輪については「まったく評価しない」が344人(77・1%)を占め、次いで「少しは評価する」が64人(14・3%)、「大いに評価する」は12人(2・7%)。九州大中退の元会社員の男性は「膨大な費用、血税を浪費する空騒ぎ」と批判。長崎大卒の元教員の男性は「国際平和のためなら、まだやっていない国でやるべきだ」と指摘した。一方、「民族間の相互理解(につながる)」「国民が一体になれる」など評価の声もあった。

 全共闘運動そのものについては「運動は人生に役立った」が359人(80・5%)、「あの時代に戻れたら、また参加する」が299人(67%)で好意的な評価が目立つ。革命や社会変革を「信じた」も48・7%に上った。ただ、運動の参加による損害が「ある」としたのは165人(37%)。「市役所の最終選考で不合格」「勤務先での昇任が認められなかった」などと理由をつづった。

 実行委事務局の前田和男さん(72)は「全共闘運動は何を果たし、何ができなかったのか。単なる回顧録とせず、次世代に伝える教訓としたい」と話した。

 A5判、720ページ。3850円。全国の大手書店などで販売中。 (山下真)

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