山あいの地下、人吉航空基地跡の活用策探る 2月に福岡市でシンポ

西日本新聞 もっと九州面

 海のない山あいの人吉盆地に位置する熊本県錦町に、旧日本海軍の巨大な地下基地跡が残る。太平洋戦争時、本土決戦に備えて建設された。アリの巣のように町の地下に広がる基地跡を、戦争を語り平和の尊さを訴える場として活用しようと、町は2月10日、福岡市・天神でシンポジウムを開く。

 町によると、基地は「人吉海軍航空基地」で、地元では秘密基地と呼ばれる。1943年11月に建設が始まった。当初は航空機の整備を担当する練習生を配属していたが、終戦直前は特攻隊の訓練拠点だった。錦町の地下に手作業で洞窟が掘られ、戦闘機の格納庫や兵舎、作戦室などの施設が整備された。洞窟の総延長は把握された分だけで約4キロに及ぶ。

 町は2018年8月、資料館「にしきひみつ基地ミュージアム」を開設。収集した資料を公開し、地下施設のガイドツアーにも積極的に取り組んでいる。

 シンポでは、慶応大文学部の安藤広道教授が「戦争遺跡を保存・公開する意味とは」と題して基調講演する。安藤教授は太平洋戦争末期、連合艦隊司令部などが置かれ、旧海軍の極秘の最重要拠点となっていた慶応大日吉キャンパス(横浜市)の調査・研究を進めている。

 続くパネルディスカッションでは「戦争を語る『場』を考える-遺跡・漫画・観光をめぐって-」をテーマに、にしきひみつ基地ミュージアムの平本真子副館長▽漫画家の武田一義さん▽日本修学旅行協会の竹内秀一理事長▽福岡県筑前町立大刀洗平和記念館の山本孝館長-の4人のパネリストが意見を交わす。若い世代が戦争を考える場としての錦町の可能性などを探る。コーディネーターは安藤教授が務める。

 パネリストのうち武田さんは1975年生まれ。太平洋戦争の激戦地、パラオのペリリュー島を舞台にした漫画「ペリリュー 楽園のゲルニカ」(白泉社)で、2017年度の日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した。武田さんは「漫画で戦争を語ることで感じた可能性を錦町の取り組みに生かしたい」と語る。

 安藤教授は「太平洋戦争を語る場にはイデオロギー対立がついて回るが、大事なのは異なる見方を排除せず、耳を傾け、対話することだ。一人一人が戦争を考える場として戦争遺跡をどう保存・活用していくか、錦町を例にしっかり考えたい」と話している。

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 シンポジウム「山の中の海軍のまち~熊本県錦町の戦争遺跡をどう生かすか」 2月10日(月)午後2時、福岡市・天神のエルガーラホール。九州経済調査協会などとの共催。参加無料。当日参加も可能だが、定員(200人)になり次第締め切る。参加希望者は、(1)郵便番号(2)住所(3)氏名(フリガナ)(4)年齢(5)電話番号(6)人数-を書いて「山の中の海軍のまちシンポジウム」係へファクス=092(731)5210=で申し込む。スマートフォンで2次元コードを読み取っても申し込める。問い合わせは西日本新聞社メディアプランニング部=092(711)5490(平日午前9時半~午後5時半)。

 

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