[ズバリ聞きます]中村哲さん、パキスタンで医療支援

西日本新聞

●パキスタンで10年続けてきた医療支援活動などについて久留米大学で講演する中村哲(なかむら・てつ)さん(46)

 カンボジアの総選挙に関する日本の国際貢献は「カンボジア復興の第一歩に役割を果たした」との評価がある一方、憲法上の問題や犠牲者が出たことから、その在り方に疑問を投げかける声も聞こえてくる。国際社会の一員として責任ある国際貢献が求められ、関心も高まっている中、注目と期待を集めているのが非政府組織(NGO)の活動。1984年からパキスタンのペシャワールでハンセン病根絶とアフガニスタン難民自立のための活動を続けており、久留米大の文化講演会で講話する中村哲・馬場病院(広川町)副院長に、国際貢献について聞いた。

 ―最近、国際貢献に関心が高まり、その在り方がいろいろ論議されていますが、活動歴10年になる中村さんはどう思いますか。

 中村 10年前にも日本人の国際ボランティアは、農業関係者を中心にたくさんいました。ただそういう人は、表に出たがらないだけなんですよ。私たちの活動を支援するペシャワール会(福岡市)も会員は2千人を超え、この10年間で30人以上が現地で3カ月以上働いています。私も現地に行ってみて発展途上国へのイメージが随分変わりました。実際に出向いて交流を重ねて、初めてその土地の事情が分かるのです。

 ―日本の国際貢献の在り方についての思いは……。

 中村 日本に入る世界の情報は欧米など第三国経由のものが多く、日本独自の情報収集ルートが貧弱です。これでは、限られた人たちの考えや、一部の事情しか伝わらない。現地の一般の人たちが何を考え、何を望んでいるのかが分からないのに国際貢献と言っても無理があります。

 ―今回のカンボジアでの国連の平和維持活動をどのように思いますか。

 中村 果たして、国連の活動は必要だったのかという疑問はあります。国が混乱するのは、確かに不幸なことですが、そこに住む人たちの生活知識や秩序で解決できることも多い。そこに西洋的な価値観や仕組みを押し付けると、ますます混乱することもあるのです。民主主義が世界のどこにも通用すると考えがちですが、われわれの理解の及ばない全く違った次元で国や人がまとまることも忘れてはいけません。

 ―今回の講演のねらいは何ですか。

 中村 先進国になった日本では、抗生物質も手に入らずに「死」と隣り合わせだった時代の意識が薄れて、現在そんな状況にある国の人たちの意識と共有できる部分が少なくなってきている。現地の生活者と一緒に活動した者として、見たこと、聞いたこと、感じたことをそのまま話して、外電ニュースの字面だけでなく、そこに生活している人が何を考え、望んでいるかを伝えたい。こんな世界があるんだと少しでも分かってもらえたらいいですね。

   ◇   ◇

 ▼ひとこと 現地の実情を伝える情報が貧弱だとの指摘は、政府機関はもちろん、マスコミにも耳の痛い話だ。武力衝突の回避や国家体制の安定への国際貢献は必要だが、その目的は庶民の生活に平和をもたらすこと。そこに住む人が平和のために何が必要かを知るには、中村さんのように現地に溶け込み、そこに住む人と同じ視点で活動することが大切だろう。

 講演会は7月3日午後3時から、福岡県久留米市御井町の久留米大御井学館で。問い合わせは同大法学部古賀助教授=0942(43)4411内線360。(聞き手・永柄信行記者)

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