「あと20年」中村さんの意志継ぐ若者を ペシャワール会が職員募集

西日本新聞 社会面 中原 興平

 アフガニスタンで用水路建設に取り組んできた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」が、73歳で亡くなった現地代表の中村哲医師の意志を継ごうと、事業を長く支える態勢づくりに本腰を入れている。会の事務局やボランティアには年配者も目立つ中、将来的な世代交代を見据えて若手職員を増員する計画だ。「人材を育て、少なくとも20年は続けられるようにしたい」と話している。

 「ミラーンの護岸設備は修理が必要だよ」「マルワリード2はどうですか」「大丈夫」「メラバニ(ありがとう)」

 20日、福岡市のペシャワール会事務所。各地の取水設備の状況について、職員が国際電話で報告を受けていた。相手は会の資金援助を受けて現地で活動するNGO「PMS」(平和医療団)のスタッフで、やりとりは現地のパシュトゥー語。3年目の職員、籾井孝文さん(27)は「現状把握のための大切なやりとりですが、最初はまるで暗号でした」と打ち明ける。

 籾井さんたちが所属するのは「PMS支援室」。ベテランの室長の下、20代の職員3人が現地と綿密に連絡を取り合い、用水路建設事業の会計事務などを担う。治安状況を踏まえ、原則として国内で活動する。

 会は中村さんが亡くなった後、今後5年で増員を進める予定を前倒しし、支援室職員の募集を始めた。文字通り先頭に立って事業を率いてきた圧倒的な存在を失った今、中長期的な取り組みに必要な陣容を迅速に築くことが狙いだ。

 「あと20年は続ける。私がいなくなったら終わり、というわけにはいかんよ」。中村さんは生前、そう語っていたと村上優会長(70)は振り返る。会の運営の中核を担ってきたスタッフには高齢者もおり、「若い世代の必要性は一層増している」という。

 募集しているのは有給の正職員。応募条件は、英語力や会計の知識があれば望ましいが「中村哲医師の現地活動に関心のある方はどなたでも」。既に働いている3人も入会の経緯はさまざまで、中村さんの講演をきっかけに新卒で入った人もいれば、「国際的な仕事をしたい」という思いを胸に民間企業から転職したケースもある。

 「まだ実感がわかない。先生は今も現地にいるんじゃないかと思ってしまう」と、職員の浦田菖平さん(27)。もちろん、決意は固まっている。「世界で唯一ともいえる事業を引き継いでいくのは私たち。重い責任と期待に応えたい」 (中原興平)

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