役に立たない夫の「取るだけ育休」を嘆く妻 西日本新聞アンケート

西日本新聞 一面 本田 彩子 金沢 皓介

 小泉進次郎環境相の取得宣言をきっかけに、男性の「育児休業」が改めて注目されている。特命取材班が九州の女性読者を対象にアンケートをしたところ、8割以上が男性に育休を「取得してほしい」と答えた一方、30~40代の現役子育て世代ほど「休んでも役に立たない」など、男性の育児スキルと意識の低さを理由に取得に否定的な声が目立った。男性の育休を義務化する議論も出る中、質を伴わない「取るだけ育休」が問題となっている。

 アンケートは今月、本紙と無料通信アプリLINE(ライン)でつながる女性通信員(フォロワー)約3200人に実施、3日間で557人から回答を得た。

 男性に育休を「取得してほしい」と答えたのは82%(459人)。「取得してほしくない」と答えた人の割合は、年齢別にみると、20代=12・8%▽30代=21・7%▽40代=23・2%▽50代=13・4%▽60代=5・4%▽70代=11・1%-と、現在子育て中の女性が多い30~40代ほど割合が大きかった。

 「取得してほしくない」理由については、「給料が減ると困る」といった経済的な理由も複数あったが、「家にいても子育ての戦力になるか期待できない。旦那のご飯を考えるのもストレス」(福岡県30代)、「赤ちゃんと旦那の世話で倍に忙しくなるだけ」(大分県40代)といった家事・育児スキルの低い男性に対する厳しい声が多数。夫がごみ出しもしたことがないという福岡県の50代女性は、「志を持って休暇を取る男性なら大歓迎だが、ただ家にいられても、イライラのもと」と回答した。

 ジェンダー論が専門の関西大学の多賀太教授(51)は、普段から家事や身の回りのことを妻に任せきりの男性が育休を取ると、家に長くいる分だけ妻の仕事が増える可能性があると指摘。「子どもが生まれる前に、育児だけでなく、家事のスキルを上げておく必要がある」と言う。

 妻についても「自分のペースで行ってきた家事や育児に夫が入ることでイライラしてしまうが、本来は2人でやるもの。やり方や分担を2人で考えることが大切だ」と話した。

 厚生労働省の調査によると、2005年度以前、育休を取得した男性は1%にも満たなかった。10年の新語・流行語大賞トップテンに「イクメン」が選ばれ、国や自治体、企業が推奨しているが、18年度の取得率は6・16%にとどまる。実際に夫が育休に入ったものの「期待外れだった」という妻による嘆きの声は今回のアンケート以外にもあり、取得すること自体がゴールになっているとの指摘は少なくない。

 「取るだけ育休」を脱するには、どうしたらいいのか。佐賀県では18年度から、子どもが生まれる前の夫婦を対象に、子育てや夫婦で取り組む家事のこつなどを伝える「マイナス1歳からのイクカジ推進事業」を実施している。

 事業を委託されているNPO法人「ファザーリング・ジャパン九州」(福岡市)理事の森島孝さん(40)は発想の転換を促している。「男性の育休は家族や子どものためだけではない。仕事以外の人脈が広がるなど、自分のためにもなるのです」 (本田彩子、金沢皓介)

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