玄海町長に現金 原発利権に絡んでないか

西日本新聞 オピニオン面

 驚きとともに、原発を巡る利権の存在をやはり疑わざるを得ない。

 関西電力で発覚した不透明な「原発マネー」の流れが九州にも及んでいた。九州電力の玄海原発の地元である佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長に、福井県敦賀市の建設会社から現金100万円が渡っていた。

 脇山町長によると、2018年7月の町長選初当選直後、この建設会社関係者が町長宅を訪ね「当選祝い」として、のし袋に入った100万円と社長の名刺を置いていったという。

 政治資金規正法は、政党以外が企業・団体献金を受け取ることを禁じており、100万円の受領は違法性が高い。脇山町長はこの金を金庫に保管し、政治資金収支報告書にも記載していなかった。

 「政治と金」の問題としてだけ考えても深刻だが、脇山町長は「賄賂をもらったような気分だった」とも語っている。とても「脇が甘かった」という釈明で済む話ではなかろう。

 建設会社側はどんな見返りを期待していたのか。実際に原発工事の口利きなどの不正はなかったのか-。脇山町長は便宜を図ったことはないと否定しているが、突然、福井の会社が大金を持って来るとはあまりに不自然だ。町長の言葉だけでは信用できないのではないか。町は今後、事実関係を客観的に調査して公表するべきだ。

 この建設会社は、関電幹部に現金や金貨など約3億2千万円相当の金品を贈っていた福井県高浜町の元助役(故人)に、毎月顧問料を払っていた。

 かつては玄海3、4号機の建設工事にゼネコンの下請けとして関わり、今は川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の工事に下請けで入っている。最近は玄海原発での仕事がなかったようで、玄海町長の「鶴の一声」で仕事を取ろうとしたのではないか、と疑われてもやむを得ない。

 脇山町長は昨年12月の関電を巡る報道を受け、知人を介して100万円を建設会社に返却したという。

 この建設会社は玄海町の前町長、岸本英雄氏にも接触していた。岸本氏は「お金を受け取ったり、便宜を図ったりしたことはない」と話している。

 原発の稼働には立地自治体の同意が欠かせず、その首長は電力会社にとって特別な存在だ。こうした立地自治体と電力会社の密接な関係が、今回の問題の背景にあるのではないか。

 九電が問題に直接関係したわけではないが、原発関連工事が口利きの対象になった疑いは残る。当事者意識を持ち、問題がなかったか、内部調査と結果の公表を検討してほしい。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ