医療奉仕にもアタック ヒマラヤに挑む福岡登高会 薬類持ち遠征へ パキスタンの中村哲医師応援

西日本新聞 社会面

<この記事は1985年5月11日付夕刊に掲載されたものです>

 「哲ちゃん、待ってろよ」――。今夏、パキスタン・カラコルムの高峰ナンガ・パルバート(8125メートル)などヒマラヤの3峰に挑戦する福岡登高会(新貝勲会長)が、かつての山仲間で現在、パキスタン北西部のペシャワールで医療奉仕活動に励んでいる福岡県粕屋郡古賀町出身の中村哲医師(38)を救援するため、医薬品を持って行く。現地の乏しい医療環境を見かねた中村医師の“SOS”に新貝隊長らがこたえたもので、遠征隊員たちは出発準備をしながら「山登りでいつもお世話になるパキスタンに少しでもお返しを」を日パ親善の願いを込めている。

 福岡登高会と中村医師の絆は1978年、同会がパキスタン西部のティリチミールに遠征した際、中村医師が隊医として参加したことから強く結ばれた。この時、中村医師はパキスタン政府観光省から依頼された辺境の登山基地・ペシャワール周辺で住民の診療に当たったが、無為地帯が多いうえ、貧しさからくる栄養障害で結核やハンセン病に苦しむ患者の多いことを痛感した。これがきっかけとなって、日本キリスト教海外医療協力会の派遣医を志願して昨年5月、ペシャワールのミッション病院に赴任した。

 新貝会長らは、昨年末に一時帰国した中村医師からの報告や、最近の文通で相変わらず医療環境が悪いことを訴えられ、今回のパキスタン遠征を機に、医薬品の差し入れを思い立った。医薬販売会社などの協力で、これまでに集めたのは鎮痛剤、抗生物質、包帯など約50キロ分。新貝会長は「実際に現地を見てきたが、ペシャワール付近は難民が多く、医療状況は確かにひどい。50キロぐらいでは中村医師を満足させるまではいかないでしょう。医薬品提供に協力できる人がいると助かりますが…」と話している。

 福岡登高会の今回のヒマラヤ遠征はパスⅠ峰(7284メートル)、同Ⅱ峰(6842メートル)のあとナンガ・パルハートに挑む。高峰の3峰連続アタックは世界山岳界でも初めて。遠征隊は新貝会長を隊長に、先発隊が今月28日、後発隊が6月4日に福岡を出発。同20日ごろ中村医師と再会する。3峰アタックは6月末から8月中旬ごろ。

 中村医師への医薬品救援の問い合わせ・申し出は福岡市南区和田、福岡登高会事務局=092(552)0224=へ。

1985年5月11日付夕刊の記事


 

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