紙芝居創作で自立支援 北九州芸術劇場など体験講座

西日本新聞 北九州版 竹次 稔

 悩みを抱え就学や就職に踏み出せない若者たちが、演劇などのアーティストを講師役に、紙芝居の創作を通じて自己表現力や肯定感を高め、社会的自立へつなげてもらう取り組みが行われた。北九州芸術劇場(小倉北区)と北九州市子ども・若者応援センター「エール」(戸畑区)との共同事業。参加者が再就職する成果も出始めている。

 「太陽を追いかけて、捕まえてきます」。22日、八幡西区の多目的ホールで、紙芝居のせりふが響いていた。

 エールに集う10~30代の男女13人が参加。昨年10月から芸術体験ワークショップを8回開き、紙芝居の題材やストーリー、絵のデザイン、役割分担などを決め、練習を重ねてきた。同様の事業は2年目となる。

 シナリオは「クレヨンの国」で急に太陽が逃げ出し、同国の旅人カーラーが、太陽を探して「炎の国」「海の国」などを訪ねながら仲間を見つけ、最後は一致団結して太陽を捕まえるというものだ。

 「一度人生の色がなくなったが、それを取り戻したい」との参加者の思いを、講師で劇作家の守田慎之介さん(37)=行橋市=が受け止め、最終的に台本として仕上げた。北九州市にちなんだモノレールも登場し、紙芝居の横で登場人物を演じる演劇手法も組み合わせた。

 専門学校を中退した八幡東区の男性(19)は「自分勝手な考えが強い方だったが、仲間のことを考える重要性をあらためて学べた。前に踏み出す自信にもつながった」と話した。

 前回参加した若松区の20代の女性は、昨年7月に再就職した。大学院修了後にメーカーの生産管理部門に就職したが、時間内に仕事が終わらず、出勤できなくなった。参加をきっかけに演劇に興味を抱くようになり、就職活動を開始。今は営業職で「やってみると、意外と接客できている」と笑顔を見せる。

 もう1人の講師で、俳優・演出家の有門正太郎さん(44)=八幡西区=は「繊細で優しい若者が多かった。そのような人たちの発想は、驚かされるほど個性的。仲間と一から紙芝居を作り上げ、大きな声で演じた経験が自信となればうれしい」と考えている。 (竹次稔)

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