留学から「特定技能」で家族も残留 法務省容認「帰国は不合理」

西日本新聞 一面 古川 幸太郎

 外国人の就労拡大に向け昨年4月に創設された在留資格特定技能」を巡り、留学生が大学卒業後などに特定技能に移った場合、扶養する家族も日本に在留できる措置を取っていることが、法務省への取材で分かった。特定技能のうち一定の技能を求められる「特定技能1号」は家族の帯同が認められていないが、留学生の家族は「家族滞在」の資格で在留できるため、引き続き日本で暮らせる「人道的な措置」を講じているという。ただ有識者は「他の在留資格からの移行は家族帯同が認められておらず、不公平感がある」とも指摘している。

 大学や短大の留学生に帯同している家族は、留学生が特定技能1号に在留資格を切り替えた後も、「特定活動」の資格で日本に滞在できるようにしているという。法務省は「家族だけを母国に帰すのは不合理だ」と説明する。

 留学生は、特定技能の国内の試験合格者(約4200人)のうち外食業や宿泊業といった業種で多いとみられる。特定技能の資格取得者が当初の政府見込み(2019年度最大4万7550人)を大きく下回る2639人(17日現在)にとどまる中、法務省は「これから留学生からの移行が増える」と予測。家族の滞在を容認することで取得者を増やしたい狙いも透ける。

 ただ、効果がどこまであるかは不透明だ。留学生の家族帯同は、扶養できるだけの経済力があることが前提。ベトナム人で福岡県留学生会元会長のルー・ヴァン・クオンさん(23)は「留学生には週28時間の就労制限もあり、家族を母国から連れてくることは難しい」と説明。「特定技能も日本に滞在できるのは最長5年に限られ、魅力的ではない」と話す。

 一方、技能実習生はそもそも家族帯同が認められておらず、特定技能1号に移行しても帯同が認められない。東京工業大の佐藤由利子准教授は今回の措置について「(留学生による)特定技能への応募を促進する効果も期待される」と評価する一方で「移行前の在留資格によって差が生まれており、政策のほころびが出ている」と指摘する。 (古川幸太郎)

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