中国湖北省武漢市は長江と漢江の合流点に位置し…

西日本新聞 オピニオン面

 中国湖北省武漢市は長江と漢江の合流点に位置し、三国志の舞台となった「赤壁」も近い。呉と蜀の連合軍が魏を撃退した古戦場だ

▼赤壁の戦いは小説「三国志演義」のハイライト。自らを傷つけて敵を信用させる「苦肉の計」や、敵が船同士を鎖でつなぐように仕向ける「連環の計」など、軍師の知恵比べにわくわくする

▼演義では、蜀の諸葛亮が天に祈って季節外れの強風を吹かせ、つながれて動けない魏の船団を呉の水軍が焼き払って曹操の大軍を打ち破る。実際は、慣れない地に遠征した魏軍に疫病が流行したことが、最大の敗因ともいわれる

▼魏軍を苦しめたのがどんな病気か分からないが、約1800年後の時代に武漢を襲ったのは新型コロナウイルスによる肺炎だ。同地で発生した病気は中国各地、世界へと広がった。日本国内でも感染者が確認された

▼折あしく、中国は国民が大量移動する春節の大型連休。中国政府は武漢から出発する航空機や列車を停止させ、人が動けないようにする「連環の計」で感染拡大を封じる構えだ。人口1千万を超える大都市を事実上、封鎖する苦肉の策で急場をしのごうというのだろう

▼九州にも多くの中国人旅行者が訪れている。諸葛亮のように天に祈っても病気を吹き払う風が起きるはずもなく、水際で撃退するよう検疫に知恵を絞りたい。私たちができる最善の策は、マスクの着用と小まめな手洗いである。

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