日本の「野味」は大丈夫?拡大する新型肺炎 安心して食べるには

西日本新聞 黒田 加那

 中国から世界に感染が拡大している新型コロナウイルスについて、「アナグマなどの野生動物を食べる『野味』が原因だとニュースで見た。日本では大丈夫?」と疑問が寄せられた。アナグマは本紙「あなたの特命取材班」のマスコットキャラクター「あなとくちゃん」のモデル。万が一のことがあれば大変だ。野生動物の食肉人気が広がる中、安心して接するために必要なことは-。

 中国の専門家チームによると、中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は、食用として売られていたアナグマ、タケネズミなどの野生動物が感染源となった可能性が高いという。

 一方、日本のアナグマは本州、四国、九州の広い範囲に生息。最近では獣害対策や町おこしも兼ねた野生動物の食肉「ジビエ」料理の食材として、シカ、イノシシなどとともに、ひそかな人気という。

 農林水産省の調査によると、2018年度の全国の食用としてのジビエ利用量は1496トンで、16年度から1・4倍に増加。野生動物の食肉加工施設も増加傾向にあり、633施設(18年度)に上る。

 九州大の産学官連携プロジェクトとして16年に発足した「糸島ジビエ研究所」(福岡県糸島市)も、アナグマの精肉・販売を手がける。アナグマが栄養を蓄える秋口に罠を使って捕獲。赤身や脂のうまみを感じられる肉質で、昔から食べられてきた汁もののほか、洋風のローストやパスタなども人気だとか。

 アナグマ以外にイノシシやシカ、アライグマなどの肉も扱う同社。洗浄や皮むきのほか、筋肉ごとに切り分けたり、枝肉の状態で貯蔵したりする。調理用途によっては丁寧に筋を取るなどいくつもの処理を経て、臭みのない肉になる。

 同社で過去に取り扱った食肉が感染症を媒介したケースはない。西村直人代表は「不適切な処理や調理が感染症を媒介する。野生動物の肉は、衛生管理が徹底した業者が処理したものが安心」と話した。

 ただ、感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は「野生動物は、人にはない病原体を持っている場合がある」と指摘する。その上で「(野生動物を食べるのは)伝統的な文化で、有害鳥獣の駆除という意味もある。少なくとも生肉を避け、しっかり加熱すること、そして幼児には食べさせないことを忘れないでほしい」と話した。(黒田加那)

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