「猫の島」自転車でぐるり発見 福岡・相島 めがね岩や通信使史跡も

西日本新聞 ふくおか都市圏版 今井 知可子

 「猫の島」として海外からも愛猫家を集める福岡県新宮町の離島、相島。猫とたわむれているとつい時を忘れてしまうが、実はそれだけではもったいない。高台に登ると玄界灘を見晴らすビューポイントが連なり、江戸時代にこの島に来た朝鮮通信使をしのぶ史跡もある。潮風を受けながら自転車で島を一周してみた。

 新宮港から町営渡船に乗ると、乗客には外国人も多い。カラフルな猫じゃらしを手に、猫とたわむれる気満々の人たちだ。乗船時間20分弱で島に到着すると、船着き場周辺はすでにたくさんの猫がいて、観光客たちが駆け寄っていった。

 「かわいいー」…。

 いかんいかん、ここで足を止めると目的が果たせなくなる。島の東側へ向かってレンタサイクルをこぎ出した。すると、「この先は自販機がないから、飲み物持っていった方がいいですよ」と呼び止められ、あわてて缶コーヒーを買う。

 相島小を過ぎた辺りから上り坂に。猫の姿はまばらになるが、代わりに眺望が開けてきた。見晴らしのいい場所にはベンチがあり、海を眺めて缶コーヒーでひと休み。時を忘れて開放感に浸る。

 さらに進むと、右手に「積(つみ)石塚」の標識。高く茂った雑木を抜けると、石ばかりの海岸に無数の塚が見えてきた。石室だ。古墳だというが、石だけでできた古墳を見るのは初めてだ。

 海に突き立った「めがね岩」も見える。高さ約20メートルの大岩にトンネルのように穴があいている。江戸時代、はるばる海を渡って来た朝鮮通信使の人々も、「なんで穴があいているんだろう?」と不思議に思ったことだろう。

 島の北側へ登ると、「穴観音」の看板があった。その先の絶壁、滝の段の下、波打ち際に洞窟があり、観音様がまつられていたそうだ。道が危険な状態で降りることはできないが、眼下に真っ青な玄界灘が広がる。水平線上には、かすかに沖ノ島が見えた。世界記憶遺産の相島から世界文化遺産の沖ノ島を望む。なんともぜいたくな瞬間だ。

 ぐるっと一周するのに、1時間ちょっと。朝鮮通信使を迎えるため造られた石積みの波止場「先波止(さきはと)」が見えてきた。この小さな島に何百人もの通信使が11回も訪れたのだ。迎える準備に島民たちは、どれほど心を砕いたのだろう。

 歴史ロマンあふれる相島。猫と遊んだ後は、ぜひ島めぐりを楽しんでほしい。 (今井知可子)

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