危機の地域金融 地元が求める役割を磨け

西日本新聞 オピニオン面

 持続可能なビジネスモデルをどう構築するか。地域金融機関が対応を迫られている。取引先や地元経済を支えていくためにも、自らの足元を固める必要がある。それぞれに知恵を絞り、その使命を果たしてほしい。

 地域銀行や信用金庫など地域金融機関の経営環境は厳しさを増す一方だ。超低金利政策の長期化で利ざやが縮小し、人口減少と高齢化で資金需要も先細りしている。金融庁が再編を含む対策を求めているのも、そんな強い問題意識からだ。

 九州は「金融激戦地」として知られる。特に福岡県は地域銀行5行が本店を構え、競争も厳しい。その一つ筑邦銀行(久留米市)がネット金融大手のSBIホールディングス(東京)と資本業務提携を結んだ。小規模ながら独立経営を続けてきた筑邦銀の危機感の表れだろう。

 SBIは「第4のメガバンク構想」を掲げ、全国の地域銀行と交渉を進めている。既に島根銀行(松江市)に大株主として取締役を派遣し、福島銀行(福島市)とも同様の契約を結んだ。この地域銀連合はさらに拡大する可能性もある。

 筑邦銀の出資受け入れは最大3%と先行2行より小規模で、金融とITを融合させたフィンテックの新サービス導入で支援を受けるという。SBIが展開する証券、保険などの金融サービスの提供を受けて自行の顧客サービス強化につなげる狙いも見える。今後の具体的な展開にも注目したい。

 金融庁によると、2019年3月期は地域銀行105行のうち45行が顧客向けサービス業務が連続赤字だった。支店閉鎖などの経費削減で前年度より減ったものの、本業のもうけは減少基調が続く。10年後に地域銀行の6割が最終赤字に転落するという日銀のリポートもある。

 政府は、地域金融機関の経営統合を後押しする姿勢を鮮明にしている。地域でのシェアが高くなる場合でも独占禁止法の適用を除外する法案を今国会に提出する予定だ。背景には、ふくおかフィナンシャルグループ(福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合を巡り公正取引委員会の審査に時間がかかったことがある。審査が再編の妨げとならないよう手を打つわけだ。

 ただ経営統合はコスト削減にはなっても、抜本的な解決策にはならないとの指摘もある。公取委幹部は「銀行を延命するためだけの再編では意味がない」と苦言を呈している。

 やはり本筋は地元の利用者や企業から求められる金融機関の姿を探ることだ。ネット全盛の時代だからこそ営業現場の目利き力を磨き、新しい事業や企業を育てる能力を向上すべきだ。

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