「男性の育休」を考える 取得率6%…女性の8割が要望しているのに

西日本新聞 くらし面 本田 彩子 河野 賢治

 小泉進次郎環境相が第1子誕生を機に「育児休業」を取ると表明し、男性の育休があらためて注目されている。厚生労働省の事業所の抽出調査では、取得した男性はわずか6.16%(2018年度)。職場や自身のキャリア、収入への影響を懸念して控えているとみられ、家事や育児を1人で担う「ワンオペ育児」に苦しむ母親は多い。男女双方の声から、男性の育休を考えてみたい。(編集委員・河野賢治)

「ワンオペ育児は無理」 

中学校教諭・高嶋 勇士さん(34)=福岡県糸島市

 昨年2月に双子が生まれ、同4月から育児休業に入った。期間は1年間。長女(4)の時も取得しており、2回目になる。

 双子の出生直後、夜中は毎日ほぼ眠れなかった。片方が泣くと、もう1人もぐずる。妻の麻衣子さん(31)と母乳やミルクを与え、抱いてあやす。これが2、3時間おきに続いた。麻衣子さんも職場で育休を取っているが、夫婦とも睡眠不足で疲れがたまった。

 多胎児の育児は、疲労で虐待につながる恐れが指摘され、愛知県では三つ子の次男を母親が床にたたきつける事件が起きた。「夫婦2人でも大変なのに、ワンオペ育児なんて絶対に無理です」。自身の場合、遠方の母と妹が訪れて助けてくれたが、核家族の育児の危うさを感じた。

 長女の時の経験で、今は泣く理由が空腹なのか、おむつ交換か、おおむね分かる。料理の腕も上がった。「子どもといい時間が過ごせる。取ってよかった」

 西日本新聞の集計によると、九州の公立学校では男性教員の育休取得率が平均2%(2018年度)。同僚男性は「取りたいけど…」と言う。でも女性教員は多くが取るし、休むことに男女差はないと思う。

 「僕は世の中の女性が普通にすることをできるようになっただけ。母親はこれに、予防接種の管理などもしている。まだまだです」 

「手伝いでなく主体的に」

産業医科大准教授・村松 圭司さん(36)=北九州市

 長男(3)が生まれてすぐ、3カ月間の休みを取った。風呂に入れ、夜泣きをすればあやし、夫婦の食事は自身が作った。「母乳をあげる以外は、男性ができることは多いと思った」

 医師として公衆衛生学教室に所属し、研究や講義を担う。学内の育休取得は少なく、教室の同僚も3人だけだが、上司は認めてくれた。当時は任期付き職員で、育児休業給付金の要件を満たさず受給できなかったものの、迷わなかった。

 男性の方が育児に向いていると思うことがある。入浴時に抱いて体を洗い、両耳を押さえて湯船に入れるのは力がいる。夜泣きの際も「出産後すぐは母親も体調がすぐれない。体力のある男性の方がいい」。夜中に起きて抱いたままスクワットをすると、揺れで眠ってくれた。「筋トレを兼ねました」と笑う。

 母親が求めるのは、育児を男性が手伝うのではなく、主体的に担えるまでスキルを高めることだと思う。「妻は『1人の時間って最高』と言っていた。夫の子育てのレベルが妻と同じくらいになれば、家族の生活に選択肢ができる」

 復職後は職場にいる時間が減り、仕事と育児、家庭の時間をうまく配分できている。「生活をマネジメントする力がついた。育休取得は上司の理解が第一。今後は取りやすい職場に人材が集まると思います」

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