タイにはまった日本人 NABUN 【食堂物語】

西日本新聞 北九州版 白波 宏野

 2019年9月に北九州市小倉北区にオープンしたばかりのタイ料理店「NABUN(ナーブン)」は、母国のホテルなどで腕をふるったタイ人シェフ2人が調理場に立ち、本場の味を提供している。「北九州で本物のタイ料理を」との日本人オーナーの思いで始まった同店は、おいしいタイ料理がお手頃価格で味わえると、常連客も多く連日にぎわいを見せている。

 「コップクンカー(ありがとうございます)」。テーブル4席が並んだこぢんまりとした店内は昼時になると、客が次々に入れ替わり、従業員の元気なタイ語が行き交う。昼は4種類から選べるランチセット(税込み980円)の注文が多く、定番のガパオライスやグリーンカレーの他、米粉とタピオカ粉を練ったもちもちの麺で作るタイ風焼きそば「パッタイ」も人気だ。食後には、自家製タピオカにココナツミルクをかけたデザートも付く。

 調理場に立つのは、バンコクのホテルで料理長をしていたエーサン・ソムサさん(38)と、バンコクのレストランで働いていたモン・パンジャーさん(39)の2人だ。ソムサさんは20年、パンジャーさんは13年、母国で料理人の道を歩んできた。「本場のおいしいタイ料理を食べてもらいたい」と、米やハーブ、調味料など使用する食材の8割は、母国から直接仕入れるこだわりぶりだ。

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 「北九州のおいしいタイ料理屋、教えて」。開店のきっかけとなったのは、小倉北区でタイ古式マッサージ店を営む男性オーナー(51)が、お客さんから受けた一言だった。もともとタイの文化や国民性が好きだった男性は、2016年に20年間勤めた大手自動車会社を辞めてタイで1年間、古式マッサージの修業を受け、帰国して開業。本場のタイ料理を味わいすっかり魅了されていただけに、「ちまたにあふれる『エスニック料理』ではなく、本場のうまいタイ料理を食べてもらいたい」と、地元の北九州でタイ料理店を始める決意をした。

 本場の味を提供するには、熟練の腕を持った料理人が欠かせない。男性が模索するなか、開店を後押ししたのが、マッサージ師として男性の店で働いていたヌン・ナパーさん(32)。来日前に母国のホテルで働いていたナパーさんは、男性の開店への思いをホテルの料理長ソムサさんに伝え来日を打診。男性に共感したソムサさんは、知人のパンジャーさんを誘い日本で店を担うことを決めた。シェフ2人から、料理に必要な設備やメニューなどの要望を電話で聞き取り、男性が1年かけて店を準備。9月に2人を迎え入れた。日本語が話せるナパーさんも、食材の買い付けなどを行うスタッフとして働くことになった。

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 シェフらが目指すのは「親しみやすい店」だ。本場の味にこだわりつつも、タイの現地で出す料理は日本人には辛すぎる。一方、激辛のタイ料理を楽しみに来る人やタイからの留学生もいるため、お客さんがリクエストや味の好みを要望しやすい雰囲気づくりを心掛ける。メニューも常連客らの声を取り入れた改良が進み、現在はタイ風のもつ鍋を考案中。ナパーさんは「もっとメニューを増やして、タイのおいしい料理をたくさん食べてほしい」と意気込んでいる。

▼NABUN 麺やスープ、炒め物のほか、タイ東北部イーサーン地方の郷土料理などメニューは全50種類。セットメニューは昼のみ。営業は午前11時~午後3時、午後5時半~同11時。月曜定休(祝日の場合は火曜休み)。小倉北区紺屋町2-17坂井ビル1階。050(3636)2381。

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