人気漫画「鬼滅の刃」の聖地? 福岡・竈門神社、ネットで話題に

西日本新聞 ふくおか都市圏版 井崎 圭

 鬼と戦う少年の成長や仲間との友情を描いた漫画「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」(集英社)が幅広い世代の支持を集め、大ブームになっている。そのファンたちが今、「聖地」として熱視線を注ぐのが福岡県太宰府市の「宝満宮竈門(かまど)神社」だ。主人公の姓と同名のため、インターネット上で「神社が作品のルーツでは」と話題になり、こぞって参拝に訪れているという。単なる偶然か、本当にゆかりがあるのか。

 竈門神社は九州で最も登山客が多いとされる宝満山の麓にある。山頂にもお宮があり、縁結びで有名だ。1月中旬に訪ねると大勢の参拝客でにぎわっていた。

 「鬼滅」の主人公の名は竈門炭治郎(かまどたんじろう)。炭売りだったが、家族を人食い鬼に殺され、あだ討ちと鬼になってしまった妹を人間に戻すため、鬼狩り集団「鬼殺隊(きさつたい)」に入り鍛錬を積む。

 神社で目を引いたのは、絵馬を飾る「絵馬掛所」。「鬼滅」の登場人物のイラストが描かれた絵馬がずらりと並ぶ。「炭治郎のように前向きに努力できる人間になりたい」「推(お)し(好きな登場人物)が幸せでありますように」などとメッセージも添えられていた。

 家族5人全員がファンという山口県下関市の会社員高田健太さん(36)は「絵馬を見ると聖地って感じ。好きなキャラを探して楽しんだ」と満足そう。

 巫女(みこ)の上野珠良さん(24)は「アニメの放送が終わった昨秋から参拝客が増えた」と話す。「コスプレの人は少ないが、キーホルダーなど関連グッズを持っていて分かりやすい」

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 神社権禰宜(ごんねぎ)の馬場宣行さん(42)が「聖地化」を意識したのは昨年11月。「境内でコスプレ撮影をしていいですか?」とのメールが届いたからだ。その後、作品についていろいろ調べてみると、名前以外にも共通点が複数見つかった。

 竈門神社は644年、大和朝廷の出先機関だった大宰府政庁の守護のため、鬼門に位置する場所に「鬼門封じ」として建立された。作品の鬼退治というテーマと重なる。また宝満山は古くから修験道で知られ、現在も修験者(山伏)が修行を行う。修験者は「市松模様」の装束を着ているが、これは炭治郎の羽織の柄と合致するのだ。

 作者の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんのプロフィルは非公表だが、過去の公開情報によると福岡県出身。これも「『鬼滅』の由来は竈門神社」説を盛り上げている。「真実は分からない。でも、作品が参拝客増加のきっかけになったのは確か」と馬場さんは、ブームを歓迎する。

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 実はもう1カ所、「鬼滅の聖地」と目される神社が九州にある。大分県別府市の「八幡竈門神社」。鬼が作ったとされる石段の伝説が残されている。

 伝説はこうだ。昔、人食い鬼が毎夜現れ、里の人を困らせていた。そこで神様が鬼に「一晩で100段の石段を作れ。できればいけにえを渡すが、できなければ二度と現れるな」と持ちかけた。結局、99段作ったところで夜明けとなり、鬼は逃げ出した。「鬼滅」に登場する鬼が日光に弱い設定など、類似点がある。

 宮司の西本隆秀さん(48)は「作者は竈門神社を研究している気がする」と推測。横浜市など遠方から訪れるファンもおり、「今年公開される映画のヒット祈願をうちでしてもらえれば、一層盛り上がる」と、「鬼滅」による神社や地域の活性化に期待を寄せる。

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 真相はどうなのか。出版元の集英社に聞いてみた。広報担当者は「吾峠先生は執筆に忙しく取材はできません」。「そこを何とか」と食い下がると、同社広報部としての見解がファクスで送られてきた。「(神社と作品に)直接関連はございませんが、読者の方がさまざまな形で盛り上がってくださるのはありがたいことと思っています」

 これだけ共通点があるのに…。もやもやした気持ちは膨らむ一方だが、馬場さんは前向きだ。「神社は参拝した人が元気になって帰る場所。ファンの方が喜んでくれればいい」。答えは自分の心にある、ということか。 (井崎圭)

鬼滅の刃】2016年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中。単行本の最新18巻の初版発行部数は100万部を記録。シリーズ累計発行部数は、電子版を含め2500万部を突破した。女性の人気も高く、ファンは「鬼滅女子」と呼ばれる。アニメも放送され、主題歌を歌うLiSAさんは、昨年末のNHK「紅白歌合戦」に初出場した。

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