南米に「アンデスの女王」と呼ばれる植物がある…

西日本新聞 オピニオン面

 南米に「アンデスの女王」と呼ばれる植物がある。その花は「百年に一度咲く」とされ、めったに見られない。厳しい環境に長年耐えて花開く「遅咲き」は植物に限るまい

▼例えば、日本全国を足かけ17年、一歩一歩巡って正確な地図を作った伊能忠敬。測量の旅に出たのは55歳の時だった。「ひまわり」などの名画を残したゴッホは生前ほとんど絵が売れずに困窮した。破格の値で売買される後世の評価を思えば気の毒になる

▼この人も遅咲きの大輪を咲かせた。大相撲の徳勝龍関。33歳5カ月での初優勝は年6場所となった1958年以降、3番目の年長。日本出身力士では最年長だ。番付最下位の「幕尻」の優勝は20年ぶり2人目という

▼千秋楽の結びの一番で、幕尻力士が大関を破っての快挙。めったにない場面を見せてもらった。徳勝龍関は元横綱稀勢の里(荒磯親方)や大関豪栄道関らと同い年だ。体格に恵まれながら、同世代に先を行かれる。それでも「人は人」と焦らず一歩一歩。2009年の初土俵以来、無休で頑張った

▼「僕のように地味な力士は一生懸命相撲を取るだけ」。その努力を思えば、優勝会見で見せたひまわりのような笑顔がまぶしい

▼豪栄道関が今場所限りでの引退を発表した。かど番で負け越し、来場所の関脇転落が決まっていた。豪栄道関らしい潔い決断だ。晩成の花の隣に、惜しまれつつ散る花あり。それも勝負の世界。

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