義理チョコ文化ってありですか?  福岡市・天神で115人に聞いてみた

西日本新聞 夕刊 吉田 真紀 押川 知美 金沢 皓介

 バレンタインデー(2月14日)まであと2週間。福岡市・天神の百貨店、博多大丸と岩田屋本店は29日、チョコレートの特設売り場を開設し、商戦が本格化した。そんな中、特命取材班に市内の20代女性会社員から「毎年、職場に義理チョコを持参するのが苦痛」との声が寄せられた。令和の時代となり初めてのバレンタイン。義理チョコ文化ってありですか? 西日本新聞のインターンシップに参加する学生12人が、天神の街頭で10~70代の男女115人に聞いた。

 義理チョコ文化を「あり」と答えたのは59人、「なし」は38人、「どちらでもよい」は18人だった。男性より女性の方が肯定派が多く、冒頭の女性とは異なる受け止め方も少なくなかった=表参照。

 「あり」と答えた人のうち、市内の百貨店で働く40代男性は「チョコを買うことで消費が伸び、景気回復につながる」。「日頃の感謝を伝える良い機会だ」(20代女性会社員)。「相手の喜ぶ顔が見たい」(72歳女性)との声があった。

 神奈川県の会社員稲葉隆介さん(47)は、お返しでアマリリスの球根を配ったことがあり、咲かせた女性から写真が送られてきた。「遊び心だったが、話題作りになった」とほほえむ。

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 「なし」と答えた人の多くは義理チョコを「義務チョコ」と受け止めていた。毎年、同僚と折半してチョコを配る女性会社員(54)は「費用の徴収や手間を考えると苦痛」とこぼした。

 女性同士が友情の証しとして交換する「友チョコ」にも負担感があるようだ。福岡県宗像市の女子高校生(18)は「材料を買うのが面倒。費用も気になる」。県内の女子大学生(19)は「『あの子からだけもらっていない』と思われるのが嫌で用意している」と明かした。福岡市の40代女性会社員は、昨年の2月14日は休暇を取ったという。「今年も渡す予定はありません」

 企業内で義理チョコ文化をなくす動きも広まりつつある。30代男性の職場では「10年前に廃止された」。広島市の40代男性の会社も「義理チョコを贈る習慣をやめましょう」と、文書で通達があったという。

 受け取った男性側にも苦労がある。「どんな安いチョコにも(3月の)ホワイトデーに(高級チョコ)ゴディバを返さないといけない。男の格が下がるから」(30代男性)。一方で「軽い気持ちで渡したら、想像以上のお返しをもらった」(30代女性)という声もあり、男女間で受け止め方の“落差”も垣間見えた。

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 日本記念日協会(長野県佐久市)によると、今年のバレンタインデーの推計市場規模は約1310億円で3年ぶりに増加の見込み。五輪イヤーで当日が金曜日であることなどが理由という。

 令和の時代に義理チョコ文化はどうなるのか。

 バレンタインに関する論文がある東京経済大の山田晴通教授(メディア論)によると、2月14日にチョコレートを贈るのが定着したのは1960年代。その後、義理チョコ、友チョコと市場は広がった。山田教授は「バレンタインデーは季節のイベントとして定着したが、チョコを贈って愛情を伝えるのは極めて“昭和的”な古い発想になってしまった」と指摘する。

 中央大の山田昌弘教授(社会学)は「この20年くらいで男女間の恋愛が衰退した」と指摘。「会社などでの仲間意識が薄れていく中、お歳暮やお中元の習慣と同様に、義理チョコ文化も衰退していくのではないか」とみる。

 義理チョコの強要や、高価なお返しが場合によっては「ハラスメント」にもなりかねない現代。帝塚山大の谷口淳一教授(社会心理学)は「父の日や母の日のように親しい人に感謝を伝え、つながりを確認する日という認識が根付けば、チョコを渡しやすくなる」と語った。

(金沢皓介、吉田真紀、押川知美)

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 本紙のインターンシップに参加した学生12人が、取材に協力しました。
 伊藤菜月、内山諒哉、枝村美咲、小田桃子、小座野岳、財前祐里香、坂本渚、高橋宏輔、谷井愛佳、長岡健太郎、福田太郎、渡邉翔太 (敬称略)

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