【2020円くまもとの旅】奇岩と海に圧倒された 肥薩おれんじ鉄道

西日本新聞 夕刊 村田 直隆

 熊本県・水俣に着任して半年足らず。普段乗らない肥薩おれんじ鉄道で沿線を回ってみた。

 午前10時すぎ、佐敷駅(芦北町)を徒歩で出発。不知火海を一望できる佐敷城跡を目指す。約15分後に到着した。

 加藤清正が1590年前後に築城したとされる。石垣の一部が残り、国史跡に指定されている。本丸跡に立って目を閉じ、清正が見たであろう光景に思いをはせる。

 駅の反対側へ坂を下ると、薩摩街道の宿場町の面影を残す佐敷商店街だ。佐敷宿交流館の休憩所で、観光パンフレットを眺めながらひと休み。通りを散策した後、佐敷から津奈木へ向かう。

 乗った列車の車体や座席にはくまモンがあしらわれ、ほっこりした気分に。津奈木駅近くで太刀魚丼(750円)を食べた後、西へ徒歩15分。お目当ての森に着いた。

 町役場近くにある「みんなの森」。現代アーティスト西野達さんが立ち木に33体の仏像を彫った作品「達仏」が見られる。かつての憩いの場が、地域の活力ある未来を祈る場に生まれ変わった。薄暗い森に点在する金色の仏像が、神秘的な雰囲気を演出する。

 森を出て、次の目的である高さ約80メートルの奇岩「重盤岩(ちょうはんがん)」に向かう。途中、いくつかの彫刻作品を見かけた。町はアートによるまちづくりを掲げ、公園や橋の欄干なども彫刻で彩られている。

 重盤岩には、つなぎ美術館からモノレール(往復300円)で上がれるが、紅葉を楽しみつつ歩いて登る。春には桜を楽しめるそうだ。重盤岩を見下ろす場所にある遊歩道まで登り、ほっと一息。いつも見上げてばかりの奇岩を眼下に眺め、自然のスケールに圧倒される。視線を右に向けると山々の間に不知火海を望め、観光に来ていた60代女性は「癒やされます」とうっとりしていた。

 津奈木駅から列車で10分、水俣駅へ。水俣病慰霊の碑があるエコパーク水俣親水緑地から、夕日を眺めた。穏やかな海面に一直線に伸びる光の筋に見とれると同時に、この海で起きた悲しい歴史を改めて胸に刻んだ。佐敷駅に戻ったのは午後6時すぎだった。

 歴史、芸術、自然。おれんじ鉄道沿線を堪能した旅。徒歩もいいが、今度は各駅の貸し自転車を利用し、もっと遠くへ行ってみたくなった。

 (村田直隆)

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