「桜」論戦で野党に焦り 逃げの首相を攻めあぐね

西日本新聞 総合面 鶴 加寿子

 安倍晋三首相主催の「桜を見る会」問題や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に絡む汚職事件に国会論戦で切り込み、存在感をアピールしたい野党だが、攻めあぐねる場面が目立つ。「守り」の答弁に徹する首相や政府側を突き崩せず、決定打を放てない。背景には、立憲民主党と国民民主党の合流協議が事実上破綻し、一つの大きなかたまりとして政権交代を迫る迫力に欠けるところが大きい。

 今国会で野党は、桜を見る会を首相による「公的行事の私物化」として描き出し、ダメージを与えていく戦略。昨年の臨時国会での攻防から政権側が逃げ切りを図ることも「織り込み済み」(立民幹部)で、説得力に欠ける苦しい答弁を世論にさらし続けることに重点を置く。

 28日の衆院予算委員会では、桜を見る会に関して首相が「私は(自身の事務所が参加者を)幅広く募っていると聞いていて、募集という認識ではなかった」と答弁。おかしな言い回しに議場は騒然となり、質問者の共産党の宮本徹氏は「私は日本語を48年間使ってきたが、『募る』というのは『募集する』というのと同じ」と二の矢を放ったものの、首相から新事実を引き出すには至らなかった。

 野党は、政府が「既に廃棄した」とする招待者名簿について、廃棄を証明する電子記録(ログ)を示すことも再三要求してきたが、拒否されている。桜を見る会以外でも、野党4党はIR事業の中止法案を提出して揺さぶりを掛けたが、政府は推進姿勢を堅持。「相手の『防衛ライン』が予想以上に堅い」と立民幹部は途方に暮れる。

 安倍政権が野党の攻勢をたやすく受け流せるのは、国会召集直後に立民と国民の合流協議が暗礁に乗り上げ、自ら勢いをそいでしまったためだ。首相を衆院解散に追い込むような気迫を示せず、自民の中堅議員は「どんなに政権が失点しようとも、『多弱野党』には負けない。のらりくらりの答弁を許しているのは野党自身だ」と余裕の表情。

 決め手を欠いたまま疑惑追及を続けても、「野党は建設的な政策議論が少ないのでは」との批判を招くリスクがある。折しも世論の最大の関心事は、中国・武漢から拡大する一途の新型コロナウイルスによる肺炎への対処になっている。立民関係者は「国民の不安は大きく、われわれも国会で取り上げていかざるを得ない。国会論戦の流れが変わってしまうかもしれない」と述べ、戦略見直しの必要性をほのめかした。 (鶴加寿子)

PR

政治 アクセスランキング

PR

注目のテーマ