児童虐待防止へ全国初の探偵NPO 聞き込みや証拠集め児相へ提供

西日本新聞 一面 押川 知美

 探偵の調査力を生かし隠れた児童虐待を掘り起こそうと、国内最大規模の探偵社「ガルエージェンシー」の渡辺文男代表(60)=福岡県田川市出身=がNPO法人を設立した。相談無料で、寄付を募りながら運営していく。専用ダイヤルなどで情報を受け付け、探偵が調査。立証が困難とされる虐待の証拠を集め、警察や児童相談所に提供する。探偵による虐待防止団体は全国初で、児童福祉現場の人手不足の一助となる。

 法人名は「児童虐待ZERO」(大阪市)。全都道府県の計124カ所に拠点を置く同社所属の100人以上の探偵が活動する。

 探偵の仕事は離婚や家出など、家庭内トラブルに立ち入る依頼も多く「親から暴力を受けたと子どもから相談されたり、調査中にベランダに裸で立たされている子どもを見つけたりしたこともある」(渡辺代表)。これまでも警察や児相に通報してきたが、「探偵」と名乗ると住民など周辺の関係者に怪しまれて調査に限界があったという。虐待ゼロを掲げた団体を立ち上げることで、当事者や関係者の協力を引き出す狙いだ。

 厚生労働省によると、全国の児相の相談対応件数は28年連続で増加している。虐待の相談があった場合、探偵は近隣住民の証言集め、店舗への聞き込みなど、経験に裏打ちされた情報収集力で証拠を集めていく。全国の拠点を生かし、県境を越えた調査も可能だ。

 昨年11月に発足し、既に10件以上の虐待事案を児相につないだ。探偵のイメージアップにもつなげたいと考える渡辺代表。「虐待に苦しむ子どもを少しでも早く見つけて救いたい。警察や児相、民間支援団体との連携を深めていく」と意気込む。児童虐待ZERO=(0120)539999。 (押川知美)

【ワードBOX】探偵業

 依頼を受けて、特定の人物の所在や行動について調べる業務。料金、調査方法を巡るトラブルなどを防ぐため、2007年に「探偵業法」が施行され、都道府県公安委員会への届け出が義務付けられた。違反した場合は逮捕されることもある。差別的行為、平穏な生活を害する権利侵害などは原則禁止されている。

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