日本郵政・増田社長「誠意もって対応」 不正販売問題で追加調査

西日本新聞 社会面 宮崎 拓朗

 新たに22万件。かんぽ生命保険の不正販売問題で、不利益が疑われる契約がさらに拡大した。日本郵政グループは、顧客に多数の契約を結ばせるなどした五つの契約類型を追加の調査対象とし、6月末までに調査を終える方針だ。ただ、今後も新たな不正契約が発覚する恐れがあり、グループ再建に向けた調査は泥沼の様相を呈してきた。

 「(顧客が)気付いていないものも含めて調査の網を掛け、誠意を持って対応していきたい」。31日の記者会見で、日本郵政の増田寛也社長はこう強調した。

 同グループは昨年8月から重点的に調査する18万3千件の特定事案に加え、新たに五つの類型を「深掘(ふかぼり)調査」するとした。中でも優先的に調べるのが、過去5年間に新規契約が10件以上あり、うち3割以上が解約などで消滅している「多数契約」だ。対象となる顧客は6千人に上る。

 背景には、かんぽ特有のルールがある。営業担当の郵便局員は昨年3月まで、契約から2年が経過すれば受け取った手当金を返納する必要がなく、営業実績も修正されなかった。このため、一部の局員の間で顧客に「2年たてば保険料を払わなくていい」などと虚偽説明をする「2年話法」と呼ばれる不正の手口がまん延していた。

 65歳以上で月10万円以上の保険料を支払った「多額契約」の対象者は約1万8千人。契約内容を理解できない認知症の高齢者が多数含まれているとみられる。西日本新聞が入手した内部資料には、月の支払額が約64万円に上る60代の夫婦から「高額な保険料について説明がなかった」と返金を求められた事例があった。

 解約後に被保険者を変えて再加入させる「ヒホガエ」と呼ばれる手口も、新たに調査対象になった。対象者は約2万7千人。途中解約に伴って損失が発生するほか、保障を受けられる人が短期間で変わってしまうため、顧客の意向に沿っていない可能性は高い。

 追加された五つの類型は以前から報道などで問題点が指摘されてきた契約だった。記者から調査が遅れた理由を問われた増田氏は「昨年からきちんとリスク感度を高めて調査するべきだった。そこに組織の問題点が凝縮されている」と語った。

 不正販売問題を巡っては、高齢者が子や孫を被保険者とする不自然な契約も発覚している。増田氏は「それ(5類型)以外でも調査しなければならないものが必ず出てくると思う。いつでも門戸を広げ、きちんと対応していく」と述べた。 (宮崎拓朗)

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