困窮者の就労支援に地域差 「予算不足」「委託先がない」

西日本新聞 一面 大坪 拓也

 経済的に追い詰められた人を支える国の生活困窮者自立支援制度が始まってから4月で丸5年。制度の主要メニューの一つに、すぐに働くことが困難な人を対象にした「就労準備支援事業」がある。福祉事務所を置く都道府県や市町村に実施の努力義務があるが、九州では7県のうち宮崎が未実施。市町村でも熊本を除く6県の計55市町村が財源や事業委託先の不足などを理由に未実施で、長期離職者や引きこもりの人たちの自立に向けたサポートに地域格差が生まれている。

■財源不足理由に

 就労準備支援の対象は、生活の乱れや社会参加への不安、意欲低下が原因の無業者ら。バブル経済崩壊後の就職難を経験した30代半ばから40代半ばの人たちも多く、非正規雇用で生活が不安定だったり自信をなくして引きこもったりしている人も少なくない。

 事業では委託を受けた民間団体や社会福祉協議会が個人それぞれの申請・計画に基づき、生活習慣改善や会話の訓練、模擬面接などの無料プログラムによって就業を後押しする。

 都道府県は福祉事務所がない町村に代わり事業を担い、事務所のある市や町村は自前で実施している。

 九州では宮崎を除く6県が事務所のない県内町村の事業を代行。宮崎県も2017年度まで実施していた。しかし、同県内に引きこもりの人が600人程度(同県調べ)いるとされる中、「事業を継続できるほどの申請がなかった」などの理由で取りやめたため、全17町村で支援を受けられない状況だ。

 事務所を置く九州の市町村で未実施(今年1月現在)は、福岡16市(全体29市)▽佐賀6市(同10市)▽長崎11市(同14市町)▽大分5市(同14市)▽宮崎7市(同9市)▽鹿児島10市町村(同23市町村)。熊本は全14市で実施している。

 市町村の状況を把握している各県への取材によると、未実施の理由は「予算不足」「委託先がない」など。ある県の担当者は、事業が引きこもりやニートの人の就業に有効だとし「都市部以外でも支援が必要な人はおり、居住地で不公平が生じるのはおかしい」と指摘する。

 全国知事会は昨年8月、「都道府県全域に事業を広める必要がある」として、国に対し都道府県や市町村への事業補助率を現行の3分の2から全額補助に引き上げるよう要望した。

 15年4月施行の生活困窮者自立支援法に基づく支援制度は、生活保護に至る前の「第2のセーフティーネット」とも呼ばれ、県や市町村は国の補助を受けて家計改善支援や学習支援などの事業に任意で取り組める。就労準備支援と家計改善支援は、18年10月の法改正で努力義務化された。 (大坪拓也)

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