「年よりて歯のかけたるは節分の豆の数くふむくひなるべし」…

西日本新聞 オピニオン面

 「年よりて歯のかけたるは節分の豆の数くふむくひなるべし」と古い狂歌にある。年を取って歯も欠けていく。たくさん食べねばならない豆のせいであろうよ、と

▼「嬉(うれ)しさは今年もつつむ親の豆」との古川柳もある。親思いの子なのだろう。健康を祝いながら一粒ずつ数えていく、ほほえましい姿が浮かぶ

▼きょうは節分。立春の前夜に厄災を防ぐため豆をまき、年の数ほど食べるのが習いである。ただ、ご用心。実話なのか昔の人はこんな警句も詠んだ。「包んでも知れる芸者の年の豆」。豆の数で本当の年齢がばれ…とならぬよう心当たりの方は要注意

▼外に追い払いたい災いは多々あれど、現在は何より「ウイルスは外」の一念だろう。確かに怖い。けれど怖さのあまりか、ネットでは中国に残る邦人を「帰国させるな」との意見も出たそうだ

▼明治の10年代、国内でコレラがはやった時のこと。各地で村同士の衝突が起きたという。「コレラ送り」と称して、村人たちはお経を唱えながら「コレラを隣村へ送れ」と練り歩いた。隣村も同じ状況だから、村境で双方の投石や乱闘になったと伝わる。時代は21世紀。過度に感情的にならず、冷静な判断力を失わずにいたい

▼多くの文化や風習が中国伝来であるが、節分の豆まきもその一つという。かの国の人々もミクロの敵と連日連夜の激闘であろう。一日も早い終息を願って「福は内、そして外にも福」。

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