舌や頰に歯形くっきり…なぜ 医師が教える歯ぎしり対策

西日本新聞 医療面

 最近、朝起きたら顎に疲労感があります。口の中を見てみたら、舌や頬の内側に歯形がくっきりと残っています。寝ている間に一体、何が起こっているのでしょうか。 (福岡県飯塚市、20代女性)

山口歯科医院院長(飯塚歯科医師会副会長) 山口 章さん

 歯ぎしりの典型的な症状です。歯ぎしりには、上下の歯を強くかんだ状態で横にすり合わせる「グラインディング」、ぐっとかみしめる「クレンチング」、カチカチとかみ合わせる「タッピング」の3種類があります。

 通常、歯と歯が接触するのは食事中や会話中だけで、1日20分程度。ところが最近、睡眠中の歯ぎしりだけでなく、パソコン作業や家事などで集中している時に長時間、無意識にかみしめている人が増えています。

 かみしめた状態があまり長く続くと、体に多くの弊害が出てきます。例えば、こめかみ付近にある側頭筋や下顎を引っ張り上げる咬筋(こうきん)に負担が掛かり、頭痛や肩凝りにつながります。歯ぎしりでは、周辺の筋肉や骨が強い力に耐えようとして発達し、輪郭が変わることも。歯周病悪化の誘因ともいわれます。

 また、歯の象牙質にひずみが生じ、歯と歯茎の境界付近の傷んだ表面が歯を磨いた時に削れてしまい、冷たい物がしみる症状が現れます。歯の表面のエナメル質は鉄より硬いのですが、強くかみしめ過ぎるとひびが入ることもあります。

 実は、歯ぎしりについてはあまり研究が進んでおらず、根本的な治療法はありませんが、ストレスとの相関が指摘されています。実際、多くの患者が仕事や人間関係などのトラブルで強いストレスを感じています。眠りが浅いと起こりやすいといわれています。

 最近の研究で、睡眠時無呼吸症候群(SAS)との関連も指摘されています。歯ぎしりで疲れた顎の筋肉が緩み、下顎が下がって舌根部が沈下、気道が狭くなることで無呼吸を誘発するようです。

 まずは歯を保護するために、マウスピースを作ってみてはいかがでしょう。軽い運動などをしてなるべくストレスをためないようにし、就寝前は睡眠の質を下げるカフェイン摂取を控えるなど、生活習慣を見直すことが最優先です。日中のかみしめには、パソコンや部屋の壁など目に付きやすい場所に「かみしめない」「リラックス!」などと書いた付箋を張って意識するのも効果があります。(福岡県飯塚市)

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