「子どもと一緒に泣きました」子育てへの悲鳴 男性の育休、女性の声は

西日本新聞 河野 賢治 本田 彩子

 男性の育休について「西日本新聞あなたの特命取材班」が九州の女性読者に実施したアンケートでは、子育てへの多様な悲鳴が寄せられた。出産で心身のダメージを抱えながら1人で赤ちゃんと向き合う苦労、核家族などで手助けを求められない家庭環境、育休制度への注文-。届いた声を紹介する。

病院にも行けない

 「産後の疲労は心身ともに最大値。泣き叫ぶ子と一緒に私も泣いていた」(福岡県、50代)

 「長男と新生児を抱えており、怒鳴ったり手を上げそうになったりした。あと1時間、あと30分と夫の帰りを待ち、『1分でも早く帰ってきて』と泣いて訴えた」(同、40代)

 出産前後の母親は疲労に加え、体調不良や「マタニティーブルー」などの心の不調に陥るとされる。体が妊娠前の状態に戻るのは一般的に産後6~8週間後。3カ月後との指摘もある。

 同県の40代女性は「産後は母体のホルモンバランスが変わり、情緒が不安定。産後3カ月は2時間おきの授乳で心身ともボロボロになる」。熊本県の30代女性は男性に育休を取ってほしい理由として、「2時間おきの授乳、1日に何十回もするおむつ交換、それに家事までしている。サポートは必要」と訴えた。

 家事や育児を1人だけで担う「ワンオペ育児」の影響を懸念する声も。「母親の育児ノイローゼの原因になる」(福岡県、60代)、「自分の体調が悪くて病院に行きたくても、首の据わらないわが子を一緒に連れて行く気にはなれず、我慢した」(同、40代)。

 母親が産後間もない時期に無理をすると体調の回復が遅れるとされ、同県の50代女性は「その時は大丈夫と思っていても、後々無理がたたる場合もあると体験から思う」と声を寄せた。

父母にも頼れない

 核家族化で、自分の父母に手助けを求められない母親の姿も回答で浮かんだ。

 福岡県の50代女性は、娘が出産後、悲しみや気分の落ち込みが生じる「産後うつ」になった経験を明かした。娘の夫は単身赴任中。50代女性夫婦は娘と離れた遠方に住み、仕事もあった。「娘は孤独感の中、初めての育児に没頭した。父親の育児休暇を会社、国に認めていただきたい」とした。

 同県の30代女性は「第2子、第3子の出産で、実家の親を呼ぶことも不可能、里帰り出産もできない家庭を多く見た」。男性の育休取得は必要と訴えている。

 育児に親の介護が重なる「ダブルケア」に直面した人も。同県の40代女性は、2人目の子が生まれた年に両親が同時に倒れ、子ども2人の育児と親の介護に向き合ったという。「(夫が)育児休暇を取っていたら、精神的にも違っていたはずです」と振り返った。

家計への影響不安

 一方、男性が育休を取る場合、家計への影響を不安視する意見も目立った。

 長崎県の40代女性は、男性に育休を取得してほしくないと回答。理由を「夫の場合、年収が減る。出世できなくなりそう」とした。

 雇用保険の加入者が育児休業を取った時に支給される「育児休業給付」の金額は、休業開始時の賃金の67%(休業から6カ月が経過すると50%)。福岡県の50代女性は「長く休まれると困る。100%にして」。

 育児のための柔軟な休日取得や、働き方ができるよう求める声も出ている。

 「家に1日いるより、時短勤務で必要な時間に育児を手伝ってもらう方が女性は助かる」(同、40代)、「最初は完全に休みで、後に週3勤務、そして完全復帰と、段階的な育休があっていい」(同、30代)。

 「産後の父親の関わり方で、夫婦のその後の関係性が決まると言われる」と福岡県の30代女性。「男性が育休を当たり前に取れる社会になることが、雇用問題や少子化、子育て問題、働き方改革などの問題解決の糸口になるのでは」と問題提起した。

   ◇   ◇

 アンケートは約3200人に実施し、557人が回答。「男性に育休を取得してほしい」と回答したのは82%だった。(編集委員・河野賢治、本田彩子)

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