庄分酢が300年前の味復刻 大川市の老舗蔵元

西日本新聞 筑後版 平峰 麻由

 福岡県大川市の老舗蔵元「庄分酢」がこのほど、約300年前の創業時の味を復刻させ、「蔵付酢酸菌 かすみくろ酢」として販売を始めた。古来の製法にならった簡単なろ過のため透き通ってはいないが、香ばしい香りとまろやかな酸味があり、酢酸菌を多く含むのが特徴だ。近年、酢酸菌が花粉症の症状改善に有効との研究成果が発表されたこともあり、花粉症シーズンを迎え注目を集めそうだ。

 「かめから出してすぐの酢が一番おいしいと昔から言われている。そのままの味をお客さんに届けたい思いは以前からあった」

 かすみくろ酢を作った庄分酢の高橋清太朗さん(32)によると、衛生面への配慮や澄んだ酢の方が消費者に人気だったため、戦後あたりから、ケイ藻土を使ったろ過や加熱殺菌が加えられるようになった。酒を酢に変える酢酸菌の菌体も、にごりとともに取り除かれてしまっていた。

 高橋さんが造るかすみくろ酢は、深さ約160センチのかめの中で3~6カ月かけて発酵させ、最低限の加熱殺菌と粗ろ過をして完成。保存環境の整備や生産技術の発達で、ケイ藻土ろ過をしなくても衛生面をクリアできるようになった。おかげで酢酸菌も取り除かれることなく含まれる。「近年は本物志向のお客さまが増え、『にごり』や『生』という言葉が人気。創業時の味をよみがえらせるきっかけになった」と高橋さん。

 近年は酢酸菌の注目度も上がっている。食品大手キユーピーとNPO法人日本健康増進支援機構が、花粉症の症状がある人を対象に共同研究を実施。花粉が飛散する環境下で、酢酸菌を摂取した人とそうでない人では4週間後に差が出て、摂取した人の鼻づまりなどの症状が改善した。菌が免疫のバランスを整えて、花粉症の症状を抑制すると考えられるという。

 高橋さんは「酢酸菌が花粉症に効くとは知らなかったが、昔の人は自然と体にいいものを取り入れていたと思えば理にかなっている」と話している。庄分酢=0944(88)1535。 (平峰麻由)

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