異例の反省、習氏の思惑 新型肺炎で団結訴え批判かわす

西日本新聞 国際面 川原田 健雄

 【北京・川原田健雄】新型コロナウイルスによる肺炎が拡大する中、中国の習近平指導部は自らの対応に「欠点と不足」があったと認める異例の対応を見せた。経済活動の停滞などで国内の不満は高まりつつあり、習指導部は中央幹部の責任も追及する厳しい姿勢を示して、総力戦で感染拡大を食い止める構えだ。

 4日付の共産党機関紙、人民日報によると、最高指導部の党政治局常務委員は3日に会議を開催。「今回の疫病はわが国の管理システムと能力への試練であり、教訓をくみ取らなければならない。露呈した欠点と不足への対応力を高める必要がある」と強調し、対応の不備を事実上認めた。

 会議で習党総書記(国家主席)は「直接の責任者だけでなく、党と政府の主要な指導者の責任も問う」と述べ、出席した幹部に覚悟を迫った。

 最高指導部による会議は1月25日にも開催。その後、地方幹部の責任を追及する動きが拡大した。湖北省武漢市に隣接する黄岡市では、感染者数などを把握していなかった市衛生当局の幹部ら337人が処分された。河北省、福建省などでも党・地方政府幹部に職務怠慢があったとして処分が相次いだ。

 ただ、党中央も初動の遅れは否めない。1月9日に専門家の分析で新型ウイルスが検出されたにもかかわらず、習氏が「感染まん延の阻止」を指示したのは10日以上たった同20日。それまで武漢市以外の感染者情報は公表されず、移動制限などの対策は後手に回った。中国メディアから情報公開の遅れを指摘された武漢市の周先旺市長が「地方は権限を委託されなければ公表できない」と述べるなど中央への不満がくすぶる。

 インターネットでは湖北省や武漢市の幹部の責任を問う投稿が相次ぐ。移動制限や自宅待機の動きは北京など都市部にも拡大し、市民生活に影を落とす。経済活動の停滞が景気後退に拍車を掛ける事態になれば、市民の不満は一気に高まりかねない。

 今回、習氏は「中央幹部の問責」に踏み込む一方、「防疫の総力戦が始まった」と強調。“有事の団結”を訴えて指導部への批判をかわす思惑が透ける。

 さらなる感染拡大は政治・外交日程にも影響を及ぼす。3月には国会に当たる全国人民代表大会(全人代)が予定されるが、事前に開かれる地方の会議は延期が相次ぎ、全人代開催を危ぶむ声もささやかれる。4月には習氏が訪日を予定。予定通り進められるか、難しい判断を迫られる。

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