ふるさと納税 制度の欠陥を改めてこそ

西日本新聞 オピニオン面

 国にお墨付きを与える司法判断である。しかし同時に、この制度が本質的にはらむ矛盾や問題点も浮き彫りになった。見直しへ国民的論議を深めたい。

 総務省がふるさと納税の新制度から大阪府泉佐野市を除外した決定は違法として市が取り消しを求めた訴訟で、大阪高裁は請求を退けた。ふるさと納税の弊害と指摘された豪華返礼品とその是正措置を巡り、国と地方が争った異例の裁判である。

 高額の返礼品を取りそろえて寄付を募る競争が過熱したことを受け、総務省は返礼品を「寄付額の30%以下の地場産品」とする基準を設け、地方自治法を改正して新制度を導入した。

 これに対し、泉佐野市や佐賀県みやき町など4市町は、新制度の導入直前まで総務省の通知に従わず豪華返礼品で寄付を募っていたとして、新制度から締め出された。

 泉佐野市は裁判で「総務省の通知は法的拘束力なき助言にすぎない」「新制度導入前の実態を除外の判断材料とするのは裁量権の逸脱・乱用」と訴えた。

 判決は「返礼品を是正しなかったことを理由にした除外は地方自治法に違反しない」「総務相には自治体を指導する権限が付与されており、裁量権の行使に逸脱・乱用はない」と国側の主張を認めた。

 泉佐野市の返礼品には地場産品以外の豪華な品々が並び、通販大手のギフト券を贈るキャンペーンまで繰り広げた。判決が「制度の趣旨に反する」と批判するのは当然だろう。他の自治体との公平性を考慮し、野放しにできない事情は理解できる。

 だが再三の通知や基準に従わないからといって、法改正して新制度を作り、まるで見せしめのように特定の自治体を除外する総務省の姿勢はあまりに強権的ではなかったか。国と地方の関係を「上下・主従」から「対等・協力」へと改めた地方分権改革の理念にも逆行する。

 新制度でも、多額の税を納める高所得者ほど得になる仕組みは変わらない。自治体から手数料を得る仲介サイトなど寄付の手続きがビジネスになる実態も見逃せない。首都圏を中心にふるさと納税で税収が減った自治体の悲鳴は深刻になる一方だ。

 自然災害の被災地を支援するなど、ふるさと納税の制度には有効な側面も確かにある。

 とはいえ、見返りを求めない寄付がふるさと納税の原点だとすれば、返礼品に頼るやり方は改めるべきだ。それでは寄付が集まらないというのなら、権限と財源を国から地方へ移譲し、地方が税収を含めて活力を取り戻す方策を検討すべきだ。それこそ、対等の立場で国と地方が話し合うテーマにふさわしい。

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