東南アジア、新型肺炎で「対中」苦慮 人的交流巡り各国濃淡

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】新型コロナウイルスの感染拡大防止を巡り、中国に近く人的交流が深い東南アジア各国が対応に苦慮し、濃淡が生じている。

 「親中」で知られるカンボジアのフン・セン首相は5日、滞在先の韓国から中国・北京を急きょ訪問。武漢にカンボジア人学生らが残っており、中国政府の対応策を確認するため習近平国家主席らと会談した。

 フン・セン氏は1月末に「中国との関係を壊さないため」として学生らを帰国避難させず、中国との航空便も停止しない考えを表明。その後、武漢を自ら訪れる意向も示したが、中国側が多忙を理由に許可せず、北京訪問に切り替えた。

 カンボジアは中国との貿易や投資が拡大。海外の批判が集まる人権問題を巡っても、中国は政権を支持する姿勢を示している。フン・セン氏の一連の言動には「友好関係」をさらにアピールしたい狙いが透ける。

 ただ、政権寄りの報道が多い現地紙プノンペン・ポストは3日付報道で「武漢のカンボジア人は専門家ではなく、中国側の負担になる。自らを守る手段もない」とする識者の声も紹介。対中関係の配慮と自国民の保護を巡って悩ましい状況を示している。

 タイ政府内では1月末、感染拡大を防ぐため保健相が中国人向け入国ビザの発給停止を関係閣僚会議に提案したが、中国との外交関係に影響を及ぼしかねないとして退けられた。

 一方、カンボジアと同様に中国との関係を強めるミャンマーは、現時点で国内での感染例が確認されていないものの、2月1日に中国人向け入国ビザの発給停止を開始。複数の現地報道によると「感染拡大や他国の対応を基に決定した」とした上で、一時的な措置と強調した。

 シンガポールやインドネシア、フィリピンは既に、一定期間内に中国に滞在した人の入国を拒否する厳格な措置を導入。シンガポール政府の観光当局幹部は3日のテレビ番組で「中国からの入国は減るが、シンガポールは安全だとアピールし(他国からの流入増で)代替できる」と述べた。

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