かんぽ追加調査 不正の矮小化は許されぬ

西日本新聞 オピニオン面

 不正の実態を直視せず、問題を矮小(わいしょう)化しようとしてきたのではないか。そう批判されても仕方あるまい。

 かんぽ生命保険の不正販売問題で、日本郵政グループが大規模な追加調査に乗り出すことになった。対象は顧客の意向と考えるには不自然な多数・多額の契約、乗り換えの契約という。

 徹底した調査で全容を明らかにし顧客が被った不利益を解消することが、失った信頼を取り戻す原点である。これを経営陣は改めて肝に銘じるべきだ。

 追加調査の対象は合計で6万人、22万件に達する。これまで重点的に調査してきた、保険の二重契約などの特定事案(15万6千人、18万3千件)に匹敵する規模だ。

 数だけでなく中身にも驚く。短期間に複数の契約を結んでは解約する多数契約では、最多で5年間に122件の契約をした人がいた。多額契約では、毎月支払う保険料が148万円だったケースもあるという。

 こうした常識外れの多数・多額契約の中に、営業担当者が手当欲しさに顧客の利益を無視して売り込んだ案件が多数含まれているのは間違いないだろう。「郵便局」の看板を信用し、中身を十分理解しないまま契約してしまう高齢者を食い物にしてきたとすれば許せない。調査を通じ一件一件、丁寧に確認することを求めたい。

 かんぽ生命と日本郵便が大規模な不正販売の事実を認めたのは昨年7月のことだ。当時から常識外れの契約が多数あることは分かっていた。

 なぜ今になって追加調査となったのか。日本郵政グループの経営陣交代が一つの理由だろうが、それだけではあるまい。

 外部の弁護士でつくる第三者委員会の調査報告書や総務省と金融庁の行政処分で、特定事案以外の不正についても言及され、動かざるを得なくなったのが実情だろう。顧客の不利益解消に全力を挙げると口では言いながら、本音は違うところにあったのではないか。

 問題を矮小化しようという組織体質を示す例は他にもある。日本郵政の増田寛也社長の年頭あいさつを載せた社員向けの内部文書で、発言内容が改ざんされ「不正」という言葉が消されていた。社長の指示で元に戻したというが、日本郵政グループには不正調査の土台ともいえる体質改善が依然大きな課題であると指摘せざるを得ない。

 経営体制の刷新を機にグループ全体で危機感を共有し、この際、うみを出し切るべきだ。業務改善計画に沿って、営業を過度のノルマ重視から顧客本位に改め、内部チェック体制を再構築することを急いでほしい。

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