音声教材の活用広がる 「読み方が分かった、学校楽しい」

西日本新聞 くらし面

 視覚障害者以外にも、学習障害(LD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)などの発達障害があり、活字を目で追うことを困難に感じる人はいる。文字の見え方に特性を持つこうした子どもたちが学習でつまずかないよう、読み上げ機能や文字のハイライト機能を備えた「デイジー図書」と呼ばれる音声教材を活用する動きが広がりつつある。

 デイジー(DAISY=Digital Accessible Information SYstemの略)は「アクセシブルな情報システム」の意味。読書が難しい人を支援するデジタル録音図書の国際標準規格で、世界中で使われている。(1)人の声で読み上げる「音声デイジー」(2)機械の合成音声とハイライトを連動させた「テキストデイジー」(3)人の声とハイライトの「マルチメディアデイジー」がある。

 日本におけるデイジー図書を製作する日本障害者リハビリテーション協会(リハ協)によると、(2)と(3)は見え方の特性に合わせて文字の書体や大きさ、背景色の変更が可能。読みづらさを軽減することで、内容に集中できるメリットがあり、LDの一つ、読み書き障害(ディスレクシア)の人にも適しているという。

 ディスレクシアの中学1年小早川大樹さん=大阪市=は、金森裕治・大阪教育大特任教授の支援を受け、小学4年からタブレット端末を教室に持ち込み、マルチメディアデイジーの教科書を使っている。「文字を目で追えて、読み方が分かるようになった」と喜ぶ。

 低学年の頃、教科書の文字がつぶれて行間が無いように感じたり、踊っているように見えたりした。口頭では質問に答えられても、テストの点は1桁ばかり。「勉強ができないとか、サボっているとか周りに思われるのが一番しんどかった」。デイジーでテストが受けられるようになると成績が上がり、見え方に特徴があることも友達に分かってもらえ「学校が楽しいと思えるようになった」。

 デイジー教科書のような音声教材は、文部科学省委託の6団体が製作しており、2018年度は延べ約1万2200人が利用した。一方で、読み書きに著しい困難がある児童生徒は推定25万人とされる。「ディスレクシア自体が学校であまり知られていない」(同省担当者)こともあり、音声教材を必要とする全ての子どもが利用できるよう周知が求められている。

 教科書以外の図書が少ない問題もある。日本のマルチメディアデイジーの図書数(教科書を除く)は、19年6月時点で計約1400作品。リハ協の担当者は「人が読み上げる音声とハイライトの速度を合わせるため、製作に時間がかかるのに、ボランティアが足りない」と説明する。自閉症の次女(14)がデイジー図書を使っているという大阪市の原野美樹さん(50)は「性教育や交通ルールなど、子どもの成長段階や興味に合った分野の本が増えてほしい」と注文する。

 リハ協は18年度から、デイジー図書製作の担い手を増やそうと講習会を始めた。九州でも、福岡市のNPO法人「サイエンス・アクセシビリティ・ネット」が19年4月、児童書をデイジー図書にする有償ボランティアの講習会を初めて開催。ボランティアの協力を得て「エルマーのぼうけん」など29作品を完成させたという。法人事務局=092(821)7344。

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