スマホやパソコンで学習 試行錯誤の教育現場を取材

西日本新聞 社会面 四宮 淳平

 政府の主導で全国の児童生徒が「1人1台」のパソコンやタブレット端末で学習する時代がやってくる。情報通信技術(ICT)の整備でタブレットによる授業が進む学校では、子どもたちの意欲の向上など既に変化がみられる。自宅学習も含めた管理が可能となるため、教員には指導方法のスキルアップも求められる。試行錯誤を始めた現場を取材した。

 福岡市立福岡西陵高(同市西区、約950人)であった1年生の数学の授業。各生徒が自宅でスマートフォンやパソコンを使い、デジタル教科書で予習した内容が教室のスクリーンに映し出された。それぞれが「重要」「分からない」と思った部分に赤や黄色の印を付けており、集約すると色の濃さで印を付けた人数が分かる。

 同校は2019年度から、1年生の一部の数学と英語で1人1台のタブレットを使う。全生徒の状況は教員用の教材に集約され、全体の理解度や疑問点を事前に把握できる。生徒は授業の進行に応じて「色」を修正。授業中と授業後の理解度の変化も一目瞭然になる。

 この試みは内閣府が進める「戦略的イノベーション創造プログラム」の一環。教育分野におけるビッグデータ人工知能(AI)の活用策を探るという九州大などの事業が採択された。デジタル教材は九大の島田敬士教授(メディア情報処理)らが開発。ページをめくるまでの時間や学習の時間帯など、誰がいつ何をしたのかが細かに可視化できるという。テストの成績と関連付けて情報を蓄積すれば「各生徒の成績予測や、それぞれに最適な学習法を提供できるようになる」と説明する。

 実証校になった福岡西陵高には19年度、福岡市教育委員会が購入したタブレット約150台が配備された。生徒たちは「どこができていないか先生が把握してくれる」と歓迎。一方で、自宅にパソコンがなければ予習復習はスマホを使わねばならず「画面が小さくて見にくい」という声も。教員が全生徒に同じ内容を一斉に教える従来の授業から脱却できなければ、単なる管理教育の強化にとどまるのではという懸念もあり、教員の指導力が問われる。

 同校は、社会問題に対する解決法を探る授業でもタブレットを使用。1年生は数人の班ごとに、民間企業や自治体など14の協力団体が出した課題の解決策を考えた。すぐに必要な情報が集められるほか、発表資料をネットで共有しながら、各自が自宅で修正することも可能。発表用の動画を作った班もあった。

 「学ぶ意欲が高まり、学び方も変えられる」と吉本悟教諭(39)。政府は23年度までに全小中学校で1人1台のパソコン環境を整えるとしており、吉本教諭は「創造性や表現力など紙のテストでは測れない部分が重視され、結果的に目指す『学力』そのものが変わっていく」と考えている。 (四宮淳平)

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