林業もドローンで省力化 除草剤散布、佐賀県が実証実験へ

西日本新聞 社会面 金子 晋輔

 林業の担い手が減少する中、山林の雑草刈り作業の負担を減らそうと、佐賀県は小型無人機ドローンを飛ばして除草剤を散布し、苗木周辺の雑草の成長を抑える実証実験に本格的に乗り出す。林業の省力化は全国的な悩みで、林野庁によると実用化されれば全国で初めて。同様の実験を行った宮崎県が環境への配慮などから計画を断念した経緯もあり、佐賀県は環境影響に十分配慮しながら技術的な検討を進める考えだ。

 県によると、スギやヒノキなどの苗木を植えると、5年間ほど周囲の雑草を刈り取る「下刈り」作業が必要になる。草が伸びる夏場に行うと熱中症の危険を伴う上、急斜面で草刈り機を担ぐ作業は重労働で、林業離れの要因の一つになっているという。

 同県は植林に適した標高の低い山地が多く、森林面積に占める人工林の割合が67%で全国トップ。一方、林業従事者は約300人で、この10年間で約100人減っており、作業を効率化して人手不足を補うため、ドローンに着目した。

 昨年4月、衛星利用測位システム(GPS)を搭載したドローンの飛行テストを開始。水質や土壌に負荷をかけない除草剤の選定を進めており、2020年度から事前入力したコース内で実際に除草剤を散布する実験を行う。22年度までに実用化の可否を探る。

 ドローンの活用は農業の現場では珍しくないが、作業範囲がはるかに広大な林業では進んでいない。林野庁は昨年7月、茨城県でドローンを使った実験を行ったが「標高の高い山では正確な散布が難しく、周辺に飛散する懸念がある」(担当者)と判断。スギの生産量日本一で、20年度の導入を目指していた宮崎県は環境汚染を危ぶむ声が上がり、事実上断念した。

 佐賀県内でも市民団体が1月31日、佐賀市山間部で県担当者を呼んで説明会を開催。「山で除草剤をまいて下流域の水質は大丈夫か」「市販の除草剤だから問題がないわけではない」などの疑問が相次いだ。

 「このままでは担い手がいなくなる」と危機感を強める県は「地域住民の声を十分に聞いて研究に取り組みたい」としている。(金子晋輔)

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